令和7年度から「高校無償化」の所得制限が事実上撤廃されたとのこと。それなら「高校進学」に向けた蓄えがなくても大丈夫?「来年春の進学」も安心?

配信日: 2025.06.11

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令和7年度から「高校無償化」の所得制限が事実上撤廃されたとのこと。それなら「高校進学」に向けた蓄えがなくても大丈夫?「来年春の進学」も安心?
令和7年度から「高等学校等就学支援金制度」が改定され、所得制限の一部が事実上撤廃されました。これにより、高校の授業料は、無償化が進められる予定です。そのため「高校進学に向けて貯金する必要がなくなった」と考えている方がいるかもしれませんが、本当なのでしょうか。
 
本記事では、高校無償化にかかわる制度と進学に必要な費用について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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高校無償化にかかわる「就学支援金制度」の所得制限の一部が事実上撤廃に

「高等学校等就学支援金制度」は、高等学校等の授業料を補助し、教育の経済的負担を軽減して、教育の実質的な機会均等を実現するための制度です。制度の対象者になるには、国公私立を問わず、高等学校等に在籍している方で、世帯の所得要件を満たす必要がありました。
 
文部科学省によると、令和6年度までは、年収約910万円未満の世帯に限り高等学校等就学支援金制度が利用できました。しかし、令和7年度は年収約910万円以上の世帯の高校生に対して高校生等臨時支援金が新設され、国公私立共通の基準額である年額11万8800円が支給されます。これにより、「所得制限の一部が事実上撤廃」されました。
 
さらに、令和8年度以降の所得制限の撤廃や、私立高校等の加算額引き上げなど、いわゆる「高校授業料の無償化」が別途検討されています。
 

「就学支援金制度」で支給されるのは「授業料相当額」のみ

就学支援金制度に申し込むことで授業料が支給されます。ただし、生徒や保護者が直接受け取るものではなく、学校設置者(都道府県、学校法人等)が学校に対し授業料として支払う方式です。そのため、支給額が授業料よりも少ない場合は、差額を自己負担する必要があります。
 

高校進学には「授業料」以外の蓄えも必要

高校進学にあたり、「学校教育費」というものを払う必要があります。
 
文部科学省「子供の学習費調査」における「学校教育費」とは、学校教育のために各家庭が支出する全経費で、学校が一律に徴収する経費と必要に応じて各家庭が支出する経費の合計額です。授業料はもちろん、制服代や修学旅行費、教科書代などが含まれています。
 
したがって、授業料が支給されても高校進学が完全に無償化されるわけではありません。
 
文部科学省が発表した「令和5年度子供の学習費調査」によると、公立高校(全日制)で年間平均35万1452円、私立高校(全日制)で年間平均76万6490円の学校教育費がかかるそうです。
 
また、同資料によれば、公立高校(全日制)の授業料は年間平均4万5194円、私立高校(全日制)の授業料は年間平均23万3102円です。これらの情報から、授業料が実質無償化された場合にかかる1年間の学費を計算しました。
 

・公立高校(全日制):35万1452円-授業料4万5194円=30万6258円
・私立高校(全日制):76万6490円-授業料23万3102円=53万3388円

 
家庭によっては学校教育費以外にも、学習塾や家庭教師といった補助学習費、芸術文化活動や国際交流体験活動などの学校外活動費が必要なケースもあるかもしれません。これらのことから、授業料が実質無償化された場合であっても、高校進学を見据えて貯金を始める必要があるといえるでしょう。
 

まとめ

高等学校等就学支援金制度は、すべての人が均等に高等学校で教育を受けられるように授業料を支給する制度です。令和7年度から世帯の所得制限が事実上撤廃されるため、この制度を利用できる生徒は増えるでしょう。
 
ただし、支給される費用は授業料相当額のみのため、制服代や教科書代などの費用を支払う必要があります。高校進学に向けた蓄えがない場合、授業料以外の費用が払えなくなる恐れがあるため、少しずつ進学用の貯金を行いましょう。
 

出典

文部科学省 高等学校等就学支援金・高校生等臨時支援金リーフレット(概要版)
文部科学省 子供の学習費調査 用語の解説(項目別定義)
文部科学省 令和5年度子供の学習費調査の結果を公表します (4)高等学校(全日制)(9、10ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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