転倒からの「手術・入院」で窓口負担は「18万円」！「高額療養費制度」でどのくらい軽減できる…？3人のケースで比較！

手術や入院で多額の医療費を支払った場合、一定の条件を満たせば「高額療養費制度」を利用できる可能性があります。ただし、制度が適用される医療費の金額は年齢や収入によって変動するため、事前に調べておくとよいでしょう。
 
今回は、高額療養費制度の概要、実際にどの程度医療費の負担が軽減されるのかをご紹介します。

高額療養費制度の概要

高額療養費制度とは、月の医療費が定められた上限額を超えた場合、超えた分のお金をあとで還付してもらえる制度です。上限額は年齢や収入によって異なるため、もし同じ金額の医療費負担をしている人がいたとしても、高額療養費制度による支給額は同じでない可能性があります。
 
69歳以下の場合での上限額は以下の通りです。なお、今回は全国健康保険協会の場合の目安を記載しています。
 

・標準報酬月額83万円～：25万2600円＋（減額される前の医療費－84万2000円）×1％
・標準報酬月額53万～79万円：16万7400円＋（減額される前の医療費－55万8000円）×1％
・標準報酬月額28万～50万円：8万100円＋（減額される前の医療費－26万7000円）×1％
・標準報酬月額26万円以下：5万7600円
・住民税非課税者：3万5400円

 
なお、医療費として計算されるのは、3割負担などで減額される前の金額です。例えば、窓口での負担が3割で45万円だった場合、減額される前の150万円を基に上限を超えていないか判断されます。また、窓口で料金を支払っていたとしても、差額ベッド代や入院したときの食事代などは含まれません。
 

標準報酬月額とは

標準報酬月額は、各種手当も含めた税金が引かれる前の給料を一定金額ごとに区分した「報酬月額」に当てはめたものです。厚生年金保険料や健康保険料の計算に使われるほか、給付金の金額を決める際にも用いられることがあります。
 
報酬月額の区分の数は厚生年金保険料と健康保険料で異なっており、厚生年金保険料では8万8000円の1等級から65万円の32等級までです。健康保険料は、全国健康保険協会の場合、5万8000円の1等級から139万円の50等級まであります。
 
健康保険と厚生年金保険では、同じ報酬月額でも等級が違うため、確認する際は間違えないようにしましょう。なお、従業員の標準報酬月額は、基本的に毎年4～6月の月収を基に決められ、9月から改定されます。
 

実質的な負担額はいくら減る？

還付されるお金がいくらになるかは、先述したように年齢だけでなく収入によっても変わります。
 
そこで、アキレス腱の断裂による手術と入院で医療費60万円、窓口3割負担で月に18万円支払ったときに高額療養費制度を使った場合、実際の負担額はいくら減るのかを比較しましょう。比較するのは以下の標準報酬月額の3人で、全国健康保険協会を利用しているとします。
 

・Aさん：標準報酬月額85万円
・Bさん：標準報酬月額30万円
・Cさん：標準報酬月額20万円

 
まず、Aさんは上限額が25万2600円となり、還付されるお金はありません。
 
Bさんの上限額は8万3430円、9万6570円が軽減されます。
 
最後に、Cさんは5万7600円が上限額のため、12万2400円軽減される計算です。
 
Cさんは12万2400円の医療費が軽減されたのに対し、Aさんには還付がなく、両者の負担額には大きな差が生じました。
 

上限を超えた分だけ費用負担を軽減できる

高額療養費制度では、年齢や収入によって定められている上限額を超えた分に対してお金を還付してもらえる制度です。そのため、軽減される金額は収入によって異なります。例えば、全国健康保険協会を利用している場合、標準報酬月額を基に上限が決められています。
 
今回のケースだと、収入の違いで自己負担額に12万2400円の差がありました。いくら負担額が軽減されるか知りたいときは、自身の年齢や収入と照らし合わせて計算してみるとよいでしょう。
 

出典

厚生労働省保険局 高額療養費制度を利用される皆さまへ（平成30年8月診療分から）
 
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー