母子家庭で年収200万ですが、子どもが私立医大に行きたいと言いました。さすがに諦めてもらうしかないでしょうか?
配信日: 2025.06.09


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医大にかかる費用
医大は6年通う必要があるため一般課程の大学よりも学費は高額となるでしょう。文部科学省の「国公私立大学の授業料等の推移」によると、令和5年の場合、国立大学は入学料28万2000円、6年間の授業料は321万4800円です。
公立大学は入学料が平均37万4371円、6年間の授業料は平均321万7146円です。私立医大については大学ごとで大きな差があるため、以下より解説します。
私立医大の学費
私立医大の学費について見ていきましょう。
ある私立医大では、入学金含む初年度の費用が450万円、6年間で1850万円のようです。一方、その他の私立医大の費用を見てみると、入学金含む初年度の費用が1050万円、6年間で4550万円です。
私立医大では大学によって2000万円以上の差が出ることがあるでしょう。さらに、教科書代や実習費などもかかってきます。また、5~6年生になると、国家試験対策として模試や予備校講座の受講なども考えられるでしょう。
学費以外にかかる費用
大学が遠方であれば実家を出て生活する費用がかかってきます。
まず、自宅外で生活するために、アパートを借りる費用や家財道具の購入費が必要になります。株式会社日本政策金融公庫によると、準備費用の平均は38万7000円です。さらに生活費のための仕送り額は年間で平均95万円、月額にすると7万9000円です。また、全日本医学生自治連合会によると48.8%の医学生が学業と両立してアルバイトしています。
学費に当てられる融資制度
私立医大は高額な費用がかかるため、多くの学生が奨学金や教育ローンを利用しています。私立医大では大学ごとに奨学金制度や特待生制度を設けていますが、優れた学力が求められるため、支給される生徒は限られています。
以下では、多くの学生が受けている奨学金や教育ローンについて見ていきましょう。
奨学金(貸与型)
奨学金制度は私立大学独自のものもありますが、ここでは、独立行政法人日本学生支援機構がおこなう奨学金(貸与型)について解説します。
貸与型の奨学金には無利子の第一種奨学金と有利子の第二種奨学金があり、どちらも学生本人が申込人となります。奨学金を受けるための条件として、今回のケースのように母子家庭で世帯人数が2人とすると、世帯年収の上限額の目安は第一種奨学金で761万円、第二種奨学金で1166万円です。
貸与される奨学金は毎月支払われ、第一種奨学金は月額2万~6万4000円、第二種奨学金は月額2万~12万円です。第二種奨学金では、私立医大の場合、12万円に4万円の増額ができます。申し込みの期間が決まっているため早めに調べておきましょう。
国の教育ローン
日本政策金融公庫がおこなう国の教育ローン(教育一般貸付)について解説します。
申込者は主に保護者となり、申込条件の世帯年収が790万~990万円です。扶養する子どもの人数によって変動します。融資限度額は350万円ですが、自宅外通学や修業年限5年以上の大学(昼間部)などの条件があれば、450万円が上限です。
金利は年2.85%(令和7年6月2日現在)ですが、母子家庭の場合はそこからマイナス0.4%の金利になります。申込時期に期限はありませんが、審査などの期間があるため、資金が必要となる2~3ヶ月前からの申し込みをおすすめします。
民間の教育ローン
民間の金融機関がおこなう教育ローンについて解説します。
ローンを組むための条件は金融機関によりますが、奨学金や国の教育ローンよりも柔軟な対応が可能です。使用目的の幅が広かったり、入学前に受け取れたりします。また、支払い済みの費用でも期限内であれば借りられる場合があります。
審査期間も早いところでは即日に結果が出るなどメリットが多い一方、金利が高めである点に注意が必要です。
私立医大の学費には融資制度を活用しましょう
私立医大への進学には、高額な費用がかかります。そのため、受けられる融資や母子家庭、年収による優遇措置などを活用してみてください。
出典
文部科学省 国公私立大学の授業料等の推移
日本政策金融公庫
国の教育ローン ご利用条件や金利・ご返済方法
子供1人当たりにかける教育費用(高校入学から大学卒業まで)は減少~令和3年度「教育費負担の実態調査結果」~
全日本医学生自治会連合 医学生の声を届ける! コロナ時代の意識と生活の実態調査 最終報告書(3ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー