働くパパママ必見!「新・育児介護休業法」で子どもの行事でも会社を休める?“休んだ日の給料”は支給されるの?メリット・デメリットを解説
配信日: 2025.06.07

本記事では、新・育児休業法の要点と注意点を解説します。

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子どもの行事も「取得事由」になる時代へ
今回の法改正で最も注目されるのは、図表1の通り子どもの「入園(入学)式、卒園式」といった学校行事にも休暇が使えるようになった点です。これまで看護休暇は、病気やけがといった、突発的なトラブルへの対応が中心でした。
しかし、2025年4月1日からは入園(入学)式・卒園式も取得事由になります。また、対象となる子の範囲も、小学3年生修了まで拡大しました。「子どもの成長の節目を見たい」という親心が、制度に反映されたといえるでしょう。
図表1
厚生労働省 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内
柔軟に取得できる「時間単位休暇」もスタート
休暇の取り方も、1日、半日だけでなく「時間単位」での取得が可能となりました。これにより、午前中だけ、午後だけといった短時間の行事にも対応しやすくなります。
例えば、授業参観が13時から始まる場合、12時~15時だけ休暇を取ることができ、午後半休を使うよりも合理的です。日々忙しいスケジュールのなかで、「一緒にいられる時間を少しでもつくる」ことが、より現実的になったのです。
有給か無給かは企業次第。給与減への注意も必要
ただし、「休める」と「給与が出る」は別問題です。育児・介護休業法では、子の看護等休暇中の賃金支払い義務は定められておらず、企業の就業規則に委ねられています。
有給扱いとする企業もあれば、無給とする企業もあり、制度の使いやすさは職場によって大きく異なります。休みを取るたびに給与が減ってしまうなら、使いたくても使えないというのが現実ではないでしょうか。
実際、厚生労働省の令和5年度雇用均等基本調査では、育児のための短時間勤務制度を導入している事業所のうち、短時間勤務により短縮した時間分の賃金の取扱いについては「無給」が約8割という結果になっています(図表2)。物価高騰で生活が苦しい中、「休んだ分、給与が減るのが怖くて休めない」といった声が出てくる可能性も否めません。
図表2
厚生労働省 令和5年度雇用均等基本調査
子育てと職場のバランス。本当に必要なのは仕組みよりも周囲の理解
まずできることとして、勤務先の就業規則をよく確認し、自分の会社が子の看護休暇を有給扱いしているかどうか、を把握することが第一歩です。さらに、申請の方法や、必要書類(診断書や学校行事の案内など)の有無も事前にチェックしておきましょう。
しかし、制度が整っても、職場の理解やフォロー体制がなければ、休暇を申し出ることすら気が引けるのが現実ではないでしょうか。特に中小企業や少人数のチームでは、1人が休むと業務に支障をきたすという構造が根強く残っています。
制度が「建前」にならないためには、休暇取得に対する一人ひとりの理解が必要不可欠です。制度だけでなく心理的安全性のある職場環境の構築がこれからの企業に求められてくるでしょう。
出典
厚生労働省 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内
厚生労働省 「令和5年度雇用均等基本調査」結果を公表します
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー