「キャッシュレス決済OK」のお店で食事したら、会計時に機械トラブルで「現金払い」のみに! コンビニでお金を下ろせたけど、持ち合わせがなければ“無銭飲食”になる可能性もあったの? 緊急時の正しい対応とは
配信日: 2025.06.06

もしこういった状況で支払いができないとき、「無銭飲食」となってしまうのでしょうか? 本記事では、無銭飲食とみなされるケースや、キャッシュレス決済機のトラブルが起きた際の正しい対応について解説します。
無銭飲食は詐欺罪になる? 成立のための条件とは
無銭飲食は、刑法246条の詐欺罪に該当する可能性のある行為です。一般的に詐欺罪が成立するためには「欺罔行為」、つまり相手をだまそうとする意思が必要とされています。
つまり、単に代金を支払えなかったという結果だけでなく、「だます意思があったかどうか」が重要な判断ポイントになるのです。
例えば注文時点で支払いができないことを分かっていながら、注文した場合を考えてみましょう。この場合、「払うつもりがないのに注文した」ということが欺罔行為にあたります。店側をだまして飲食という利益を得たとされ、詐欺罪が成立する可能性があるのです。
一方で、食事を終えた後に所持金が足りないことに気づいた場合は、だますという意思がないため詐欺罪は成立しないことになります。ただし、「あとで払う」と言って店を出て、実際には支払いを行わなかった場合はどうでしょうか?
「あとで払う」という言葉が店側をだます欺罔行為となり、それによって飲食代金の免除という利益を得ることになります。この場合も無銭飲食による詐欺罪が成立し得るのです。
今回のようなケースはどう判断される?
では、キャッシュレス決済が使えると表示されていた店に入り、実際には決済端末の不具合などで支払えなかった場合は、どう判断されるのでしょうか。
このようなケースでは、入店時点や注文時点で支払う意思と手段があったと考えられるため、無銭飲食として詐欺罪に問われる可能性は極めて低いといえます。実際に、店側に事情を説明し、近くのATMで現金を引き出して支払いを済ませたのであれば、法的な問題になることはないはずです。
ただし、注文前に店側から「キャッシュレス決済は使えない」と伝えられていた場合は注意しましょう。「支払えないことを知りながら飲食をした」とみなされ、詐欺罪の構成要件に該当すると判断されるかもしれません。
例えば、キャッシュレス端末の復旧見込みを聞き、「手持ちがないから、支払いまでに端末が使えない状態が続くのであればATMにお金を下ろしに行く」などと伝え、だます意思がないことを示しておくと良いでしょう。
トラブル時の正しい対応と日頃の備え
キャッシュレス決済が使えないと分かり、かつ手持ちの現金がないときは、まず店員に事情を説明し、支払う意思があることをはっきり伝えましょう。例えば、「近くのATMで現金を下ろしてくる」と申し出て、連絡先や身分証を提示しておくと、トラブルを防ぎやすくなります。
とはいえ、こうした事態に備えて、日頃から少額の現金を持ち歩くこと、予備の決済手段を用意しておくことも自衛策として有効です。
支払うという意思表示と誠実な対応が必要
キャッシュレス決済が使えず支払いができなかったとしても、支払う意思を示し、誠実に対応すれば無銭飲食とみなされることは基本的にありません。大切なのは、その場できちんと事情を説明することです。
未然にトラブルを防ぐために、少額の現金や予備の決済手段を持っておくのも良いでしょう。
出典
e-Gov 法令検索 刑法
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士