【要注意】年金暮らしの母が「売った後も住めると聞いたから…」と自宅を1200万円で売却→後日適正額「3500万円相当」と判明しショック! 家賃「月12万円」払いながら住んでいるけど、もう契約は“取り消し不可”なのでしょうか?
配信日: 2025.06.05

自宅を売却してからも家賃を払い同じ家に住み続けられる、リースバック契約という仕組みがあります。一見すると、理にかなった契約に感じるかもしれませんが、中には適正価格よりはるかに安い金額で買い取られ、高額な家賃を請求されるケースがあるのです。
例えば、本来3500万円相当の住宅を1200万円で買い取られ、毎月12万円の家賃が発生するケースなどです。では、契約後に、内容について納得がいかなかった場合、契約を取り消すことができるのでしょうか。
本記事では、リースバック契約の概要と、不動産契約におけるクーリング・オフ、また法的な対応や相談窓口について詳しく解説します。

日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。
リースバック契約とは? 売っても住める仕組み
リースバック契約とは、自宅を売却することでまとまった資金を得ながら、その売却した住宅に賃料を支払ってそのまま住み続けられる仕組みです。
具体的には、自宅の所有権をリースバック事業者に移し、同時に賃貸借契約を結ぶことで成立します。売主である個人は、売却代金が手に入るかわりに、その後は毎月家賃を支払います。
リースバック契約の主な特徴は、住み慣れた自宅を離れることなく資金を確保できる点です。特に年金生活者にとっては、まとまった資金を得られる点に魅力を感じる人もいるでしょう。
しかし、所有権が移るため、キッチンの入れ替えのような設備変更などが自由にできなくなることや、賃貸借契約の種類によっては居住期間が左右されることがある点に注意が必要です。
また、固定資産税などの物件所有に伴う費用は不要になるものの、住み続ける限り家賃の支払いが生じます。
不動産契約を取り消すことはできる?
契約締結後、一定期間であれば契約を解除できるクーリング・オフという制度がありますが、今回のように個人が自宅を売却した場合は対象外となります。
また、「押し買い」という言葉は法律用語ではありませんが、リースバック契約において、不当に安い価格で不動産を買い取るような行為を指して「不動産の押し買い」と表現されることがあります。
しかし、特定商取引法では、貴金属やブランド品など動産の押し買いについては規制が設けられているものの、不動産の売買契約は特定商取引法の規制対象外となっています。そのため、自宅を売却する場合は慎重に判断しなくてはなりません。
法的処置と相談窓口
もし、自身や家族で納得できないまま不当にリースバック契約をしてしまった場合は、できるだけ早く専門機関に相談することが望ましいです。前記の通り、契約を取り消すことは難しい可能性が高いものの、状況によっては救済策などの適切なアドバイスをもらえるでしょう。
まずは、住んでいる地域の消費生活センターなどに相談するのがおすすめです。また、被害内容によっては、弁護士への相談や法的手続きが必要になるケースもあります。都道府県の弁護士会の法律相談窓口や法テラスでは、費用面に不安がある人への支援を行っています。
契約の証拠となる書類、業者とのやり取りの記録、説明資料などは捨てずに、できるだけ保管しておきましょう。これらは、法的手続きや相談の際に重要な資料となります。
大切な住まいを守るために
リースバック契約が全て危険なわけではありません。収入源の少ない高齢者にとって、一括でまとまったお金を用意する必要がある場合や、生活に不安がある場合には利用するのも有効な1つの方法です。
ただし、契約の際には、契約内容、特に売却代金、家賃の金額、支払い継続性、契約期間、更新条件などをしっかりと確認しましょう。 「今だけ」「特別」といったセールストークに安易に応じることのないよう、じっくりと内容を全て理解することが大切です。
不明点や不安があれば、納得いくまで確認しましょう。また、提示された売却価格が妥当かどうかを判断するためにも、事前に不動産の相場を調べることが大切です。高齢者に限らず、自宅は生活の基盤であり、長年にわたって築いてきた大切な財産です。 少しでも「おかしい」と感じたら、迷わず専門家に相談してください。
出典
国土交通省 住宅のリースバックに関するガイドブック
独立行政法人国民生活センター 高齢者の自宅の売却トラブルに注意-自宅の売却契約はクーリング・オフできません! 内容をよくわからないまま、安易に契約しないでください-
e-Gov法令検索 特定商取引法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー