都内の戸建ては「3階建てが当たり前」と聞きビックリ！ 地元は「2階建て」が多いけど、土地の値段はそんなに違う？ それぞれの“土地価格”を比較
配信日: 2025.06.03
住宅購入にかかる土地代を抑えられるためだと思われますが、「3階建て住宅」はどれほどの広さの土地に、どれほどの価格で建築されているのでしょうか。一般に言われている3階建て住宅のメリット・デメリットとともに解説します。
地方と都市部で、土地価格はどれほどの差がある？
土地価格は、都市部と地方で大きな差があります。国土交通省の「令和7年地価公示」によると、東京都23区における「住宅地」平均価格は1平方メートルあたり77万1600円であるのに対し、都道府県庁所在地の「住宅地」平均価格2位の大阪市は1平方メートルあたり28万2800円となっており、実に3倍近い開きがあります。
仮に、2階建ての一戸建てを建築するために必要な土地面積をやや狭めの120平方メートル（36坪程度）としても、東京都23区においては土地代だけで約9260万円かかってしまう計算です。加えて近年は住宅建築費用も高騰しています。
住宅金融支援機構がまとめた「2023年度フラット35利用者調査」によれば、東京都において注文住宅を建設した際の「建物のみ」価格は4621万7000円、先ほど計算した120平方メートル分の土地代をこれに足していくと、全体価格は1億4000万円近くになってしまいます。
ここまで土地価格・住宅価格が高騰すると、仮に世帯年収が2000万円近くある家庭であっても、昔ながらの「2階建ての一戸建て」を購入することは非常に困難になっていると言えます。土地価格が極めて高い東京都市圏において、住宅用一戸建ては「3階建て」が一般的になっていることは、ある意味で当然だと言えるでしょう。
一方、3階建て戸建て住宅は物件の立地や大きさにもよりますが、東京23区内の新築でも「借地権付き住宅」であれば3000～4000万円台で購入できる物件が多数供給されている状況です。この程度の価格帯であれば、世帯所得が800万円程度の場合でも購入を検討しやすいため、人気になっていると思われます。
「3階建て戸建て住宅」のメリット・デメリットとは
一般的に言われている「3階建て戸建て住宅」のメリット・デメリットをまとめると以下の通りになります。
・土地価格を抑えることができるため、比較的安価である。
・狭小土地でも一戸建てとしての生活空間を確保できる。
・3階の眺望がよい。
・フロアごとで生活空間が区切られるため、プライバシーを守りやすい。
・階段の昇降が多いため、家事動線が長くなるなどの負担がある。
・1フロアあたりの居住空間が手狭で、圧迫感がある。
・建築コスト・ランニングコストがかさみやすい。
・将来的な間取りの変更が難しい。
「3階建て戸建て住宅」の購入を検討している場合は、これらのメリットとデメリットを勘案し、十分に納得してから決断することが重要です。
ちなみに、筆者は地方に住む「賃貸派」の5人家族ですが、3人の子どもが成長するのにあわせ、広めの3LDKアパートから「平屋の一戸建て」に引っ越ししています。子育て世代にとっては特に、十分な居住空間を確保することが生活満足度向上のために非常に大事になると感じており、このような住環境を選びました。
住宅選びによって、日々の生活やライフプランは大きく変わります。それぞれの価値観と収入状況などをあらためて見直し、自信を持って住居を選択し、流行に流されないことが大事なのではないでしょうか。
まとめ
近年は、特に都心部の土地価格が高騰を続けており、一戸建てを建てる場合は狭小地でも生活空間を確保するため「3階建て」になることが一般的になりつつあります。
3階建て戸建て住宅には、旧来の2階建て住宅に無いメリットもありますが、土地が狭小であるために発生するデメリットも多く存在します。住宅購入を検討する場合は、予算の都合だけでなく自分の価値観とも向き合い、時間をかけて決断していくことが重要です。
出典
国土交通省 令和7年地価公示
住宅金融支援機構 2023年フラット35利用者調査
執筆者：山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント
