子どもが3人いますが、大学進学費用が貯められていません。「教育ローン」と「奨学金」を駆使すると、最大何万円くらい借りられますか?
配信日: 2025.06.04

本記事では、教育ローンと奨学金の制度概要と、3人分の最大借入額を具体的に試算しながら、無理なく進学費用を準備する方法を解説します。

日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。
目次
教育ローンとは? 利用条件と借入限度額
「教育ローン」とは、大学進学や在学中に必要な費用を借り入れるためのローン制度です。最も代表的なのが、日本政策金融公庫が提供する「国の教育ローン」です。
・借入限度額:学生1人あたり最大350万円
(自宅外通学や医学部など、一定条件を満たせば450万円まで拡大)
・返済期間:最長18年
・金利:固定金利で年3.15%(令和7年5月時点)
・申し込み対象:保護者の年収が一定以下であること(子ども3人の場合、年収上限は約990万円)
仮に子ども3人がそれぞれ最大350万円借りた場合、教育ローンだけで合計1050万円まで借りることが可能です。
奨学金の種類と最大借入額
奨学金には、返済が必要な「貸与型」と、返済不要の「給付型」があります。ここでは、利用者が多く、金額も大きい「日本学生支援機構(JASSO)」の貸与型奨学金を中心に紹介します。
貸与最高月額:自宅通学……国公立:4万5000円、私立:5万4000円
自宅外通学……国公立:5万1000円、私立:6万4000円
※世帯の収入制限や成績要件あり
貸与最高月額:2~12万円(1万円単位で選択可能)
※第一種よりも基準が緩く、多くの学生が利用可能
第一種(6万4000円)+第二種(12万円)=月18万4000円
年間:約220万8000円
4年間:約883万2000円(1人あたり)
この金額を3人分借りようとするなら、借りられる額は最大2649万6000円になります。
教育ローン+奨学金の最大合計額
教育ローンと奨学金を合わせると、次のような試算になります。
教育ローン:350万円 × 3人 = 1050万円
奨学金(最大):883万2000円 × 3人 = 2649万6000円
総合計:3699万6000円
なお、これはあくまで最大限度額であり、実際には世帯収入や成績、通学条件などによって利用できる金額は異なります。ただし、現実的に1人あたり数百万円規模の資金を確保することは可能です。
利用時の注意点と計画の立て方
教育ローンや奨学金は進学費用の強い味方ですが、無計画に利用すると将来の家計や子どもの生活に大きな影響を及ぼすことがあります。安心して制度を活用するためには、利用時の注意点を理解し、事前にしっかりとした資金計画を立てることが欠かせません。ここでは、制度利用の際に押さえておくべきポイントをご紹介します。
1. 奨学金の返済は子どもが背負う
奨学金は、原則として子ども名義で借り、卒業後に本人が返済することになるため、将来の負担が重くならないよう、月額を調整するなどの配慮が必要です。大学卒業後に返済が始まり、返済が10~20年にわたって続くケースもあります。
2. 教育ローンは保護者の責任で返済
教育ローンは保護者名義で借り入れるため、借りすぎは家計を圧迫します。特に3人同時に進学すると、複数の返済が重なる時期もあり、慎重な計画が必要です。
また、国の教育ローンや教育ローンを提供する金融機関によっては、在学中は利息のみの返済も選択できますが、卒業後は元金と利息の返済が始まります。国の教育ローンの返済期間は最長20年で、繰上返済やボーナス返済も可能です。家計や将来設計に合わせて、無理のない返済計画を立てましょう
3. 返済不要の制度も検討を
最近では、JASSOの給付型奨学金や、各大学の授業料減免制度も充実しています。所得制限や学力基準などの条件はありますが、返済不要の支援制度を優先的に検討するのも賢い方法です。
ただし、給付型奨学金は世帯収入や資産、学業成績などの要件が厳しく、利用できる人は限られています。返済不要の支援制度を優先的に検討しつつ、自身や家族の条件に合うかどうかもよく確認しましょう。
制度を最大限に活用すれば、3000万円以上の資金確保も可能
子ども3人分の大学進学費用が貯められていない状況でも、教育ローンと奨学金を組み合わせれば、最大で約3700万円の資金調達が可能です。ただし、これはあくまでも借金であり、将来的に利息と合わせた返済が発生する点を忘れてはなりません。
大切なのは、家族全体で現実的な進学プランと資金計画を立てること。給付型奨学金や授業料免除制度、地元自治体の支援制度なども上手に活用し、負担をできるかぎり減らす工夫をしましょう。早めに情報を集めて動き出すことで、進学の夢を諦めずに実現することは十分可能です。
出典
内閣府大臣官房政府広報室 政府広報オンライン お子さんの進学・在学資金を支援! 国の教育ローンをご利用ください
金融広報中央委員会 知るぽると 奨学金を利用するために知っておくべきこと
独立行政法人日本学生支援機構 奨学金制度の種類と概要
日本政策金融公庫 教育一般貸付(国の教育ローン)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー