年収400万円・子ども2人の4人家族です。「児童手当」だけで教育費は足りるのでしょうか?
配信日: 2025.06.03

特に子どもが2人いる4人家族の家庭にとっては、将来の教育費が大きな不安要素になることも多いでしょう。
毎月もらえる「児童手当」は貴重な支援ですが、この手当だけで教育費をまかなうことは可能なのでしょうか? 本記事では、児童手当の総額と実際にかかる教育費を比較しながら、教育資金をどのように準備すべきかをわかりやすく解説します。

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目次
児童手当の支給額と受け取れる総額
児童手当とは、子育て世帯を支援するために国から支給される手当で、子どもの年齢に応じて以下の金額が毎月支給されます。
●0歳〜3歳未満
月1万5000円
●3歳〜小学校修了前
月1万円
●中学生
月1万円
●高校生
月1万円
この金額をもとに、子ども1人あたり中学卒業までに受け取れる児童手当の総額は約198万円に増える見込みです(0歳から15歳到達後最初の3月31日までで計算)。
教育費はいくらかかる? 公立・私立の違い
文部科学省が発表した「令和5年度子供の学習費調査」によれば、幼稚園から高校までをすべて公立に通った場合は596万円かかります。大学も国公立(自宅通学)に進学した場合は、文部科学省の標準額で計算をすると、4年間で214万3200円なります。
この場合の教育費総額は、子ども1人あたり約約810万円になります。これに対し、すべて私立に通った場合は約2700万円にもなると言われています。
教育費には授業料のほか、給食費、教材費、塾代、習い事などの費用も含まれており、実際の出費は家庭によっても大きく異なります。
児童手当だけで足りるのか? 結論は「足りない」
児童手当の支給総額は、仮に高校生の分まで含めても子ども1人あたり約198万円です。しかし、前述のように、最低でも約810万円の教育費がかかります。単純計算では、約618万円(810万円-198万円)を家庭が準備する必要があります。子どもが2人なら、1236万円以上の資金が不足することになります。
つまり、「児童手当だけで教育費をまかなうのは難しい」というのが現実です。児童手当はあくまで一部をカバーする支援であり、それ以外の資金準備は不可欠です。
教育費をどう準備する? 今からできる4つの対策
それでは、不足する教育費をどうカバーしていけばよいのでしょうか? 収入が限られているからこそ、以下のような工夫が重要になります。
1.児童手当は「使わず貯める」
毎月もらえる児童手当を生活費に充てず、そのまま貯蓄に回すことで、15年間で約200万円の教育資金を準備することが可能です。厚生労働省の「子ども手当の使途当に関する調査」でも、回答者の約4割が「子どもの将来のための貯蓄・保険料」に児童手当を充てています。
2.つみたてNISAなどで長期運用を活用
つみたてNISAなどの非課税制度を使えば、少額からでも資産運用が可能です。10年以上の長期投資であれば、リスクを抑えながら効率的に資金を増やすことが期待できます。
3.家計の見直しと支出の最適化
保険の見直しや固定費の削減で、月数千円でも節約できれば、その分を教育資金に回せます。節約が貯蓄につながる習慣づけが重要です。
4.奨学金や給付型制度の活用
大学進学時には、日本学生支援機構の奨学金や、各自治体の給付型制度を活用することで、家計の負担を大幅に軽減できます。高校時点で情報収集を始めると安心です。
教育費は「今から準備」で安心につながる
児童手当はありがたい支援ですが、教育費全体をカバーするには不十分です。とくに年収400万円、子ども2人の家庭にとっては、将来的な負担を軽減するために、早めの準備が重要です。児童手当を計画的に貯めることに加えて、家計の見直しや資産運用、奨学金の情報収集などを組み合わせれば、教育費に備えやすくなります。
「教育費が不安…」と感じた今が、対策を始めるベストタイミングです。未来の安心のために、できることから一歩ずつ始めていきましょう。
出典
文部科学省 令和5年度子供の学習費調査
厚生労働省 子ども手当の使途当に関する調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー