銀行振込の“振込先”を間違えてしまいました…。間違えて振り込んだお金は返してもらえないのでしょうか?

配信日: 2025.06.02

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インターネットバンキングやATMでの振込は、非常に便利でスピーディーな送金手段です。しかし、その手軽さゆえに、うっかり振込先を間違えてしまうトラブルも少なくありません。「振り込んだお金は戻ってくるの?」「相手に連絡がつかないときはどうすれば?」といった不安を抱える方も多いはずです。
 
本記事では、銀行振込を間違えたときの正しい対処法と、返金の可能性について解説します。焦らず、冷静に、でも早急に動くことが何よりも重要です。
FINANCIAL FIELD編集部

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振込先を間違えたとき、まずやるべきこととは?

まず何より大事なのは、できるだけ早く銀行に連絡することです。振込を行った金融機関に電話をして、事情を説明しましょう。可能であれば、窓口に出向いて手続きするとスムーズです。
 
この際に活用されるのが、「組戻し」という仕組みです。これは、誤って振り込んだお金を、銀行を通じて相手方に返してもらうための手続きです。
 
組戻しを申し込むときには、次のような情報が必要です。
 

・自分の口座情報
・間違えて振り込んだ相手の口座番号や氏名(分かる範囲でOK)
・振込日時や金額、取引明細

 
銀行によっては、正式な申込書の記入が必要となる場合があります。手数料は銀行により異なりますが、一般的には1000〜2000円程度かかることが多いです。
 
ただし、ここで重要な点があります。組戻しが成立するには、振込先の受取人が返金に同意することが必要です。銀行は受取人に連絡を取って確認しますが、相手が同意しなければ、お金は戻ってきません。
 

組戻し手続きで返金される可能性と注意点

組戻しの成否は、受取人の対応次第です。例えば、相手がすでに誤送金に気づいていても「手続きが面倒だから無視しよう」と考える人もいれば、そもそも銀行からの連絡に気づかないケースもあります。
 
また、受取人がすでにお金を使ってしまっていた場合、返金が困難になることもあります。誤送金を巡るトラブルは年々増えており、社会問題化しています。
 
そこで2019年からは、預金保険機構による「払戻しの援助制度」が運用されました。この制度では、組戻しができなかった場合でも、一定の条件を満たせば、預金保険機構が受取人に対して返金の手続きを行います。
 
例として、以下のようなケースが対象として挙げられます。
 

・受取人が亡くなっている
・銀行が受取人と連絡が取れない
・返金の意思確認ができない

 
ただしこの制度にも手続きが必要で、返金には数ヶ月かかる場合もあるため、早めに行動することが重要です。
 

それでも返金されない場合の対処法

銀行を通じても返金が得られない場合、法的手段を検討することになります。
 
民法703条に基づき、誤って振り込まれたお金をそのまま保有・使用することは「不当利得」となり、返還義務が発生します。これは、「本来受け取るべきでない利益は、返すべき」という考えに基づいたものです。
 
返金を拒まれた場合には、まずは内容証明郵便で返還請求を行い、それでも応じないようなら、弁護士を通じて民事訴訟を起こすことも可能です。
 
また、受取人が誤送金と知りながら返金を拒否したり、お金を使い込んでいたりした場合には、詐欺罪や横領罪に問われる可能性もあります。この場合は、警察への相談も選択肢の一つです。
 
ただし、訴訟には時間と費用がかかるため、まずは銀行を通じた解決を目指すのが現実的でしょう。
 

焦らず迅速に行動することが解決のカギ

銀行振込の間違いは、誰にでも起こる可能性のあるミスです。しかし、早い段階で気づいて銀行に相談し、適切な手続きを踏めば、お金が戻ってくる可能性は十分にあります。特に、組戻し手続きや預金保険機構の援助制度は、誤送金者の強い味方です。
 
それでも返金されない場合には、法的手段を検討することも選択肢になりますが、まずは冷静に行動し、必要なステップを一つずつ踏んでいくことが大切です。
 
また、振込の際には毎回必ず口座番号や名義を確認し、誤入力を防ぐ意識を持つことも重要です。慌てず、しかし素早く対応できるよう、今回ご紹介した知識を覚えておくとよいでしょう。
 

出典

預金保険機構 万が一金融機関が破綻した時
預金保険機構 まんがでわかる預金保険制度 06 保護される預金の払戻し時期
デジタル庁 e-GOV 法令検索 民法
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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