1人暮らし20年目、これまで「計2000万円」近く家賃として払ったと知り衝撃! 老後も考えると「持ち家」にすべきだった? メリット・デメリットを解説
配信日: 2025.05.29

とくに収入が低くなりがちな老後を考えると、家賃を払い続けられるか心配で「持ち家のほうが安心」と考える人も多いのではないでしょうか。
本記事では、家賃月8万円の賃貸で、20年間1人暮らしを続けてきた人を例に、単身向けのマンションを購入していたケースとの支払いを比較してみます。さらに老後の生活も考えた場合、住まいは持ち家がいいのかどうかも解説しますので、参考にしてください。
家賃の支払いで、持ち家は購入できていたのか
最初に家賃8万円の賃貸で暮らしていた場合と、単身用マンションを持ち家として購入していた場合の支払いを比較してみましょう。家賃8万円だと年間では8万円×12ヶ月=96万円、20年間だと96万円×20年=1920万円となり、賃貸契約の際の初期費用なども含めれば支払い総額はほぼ2000万円におよびます。
一方、公益財団法人東日本不動産流通機構が公表している「不動産流通市場の動向」によれば、20年前の2005年度の首都圏中古マンションの平均平方メートル成約単価は33万1500円です。
価格は地域や物件で異なりますが、単身用として面積を50平方メートル程度と想定すれば、中古で築16年ぐらいなら、首都圏でも当時は1600万円程度で購入可能だったかもしれません。そのため、購入に伴う諸経費を考えても、家賃支払い相当額で、住宅ローンのほとんどを払い終えていた可能性もあります。
ただ、マンションを所有していると、毎年課税される固定資産税などの税金に加え、毎月修繕積立金や管理費、さらには住宅設備の交換・修理などランニングコストが必要になります。
そのため、一概に購入していたほうがよかったとは言えません。それでも、築古のマンションとはいえ、持ち家なら売却も可能なため、資産性の面では結果的に有利だったでしょう。
老後を考えると持ち家のほうがいいのか
それでは老後を考えた場合、持ち家のほうがいいのでしょうか。老後の住まいを持ち家にするメリットは、大きく分けると次の2つが考えられます。
1つは何と言っても、家賃の支払いがないことです。収入のメインが年金になりがちな老後の生活では、家賃の支払いは生活の大きな負担になる可能性があります。管理費や修繕積立金がかかる場合もありますが、家賃8万円を例に挙げると、単身用マンションのランニングコストのほうが負担は少ないでしょう。
もう1つの大きなメリットは、持ち家があれば住む場所に困らない点です。実は高齢者が新たに賃貸に入居する際は、若い人に比べ、やや入居しにくくなる傾向があります。原因は、高齢になると事故や孤独死、あるいは認知症などのリスクが相対的に高くなることや、現役世代に比べ収入が低くなりがちなことです。
また賃貸であれば、高齢者に限らず大家さんの都合で退去を求められる可能性もゼロではありません。そのため、自分の持ち家があれば、賃貸に比べて安心感は大きくなるでしょう。
持ち家にもデメリットがある
これから老後に備えて持ち家を購入することにも、デメリットがあります。まず、購入資金が負担できるかどうかが大きな問題です。首都圏中古マンションの最新データを見ると、平均平方メートル成約単価は20年前の倍以上に膨らんでいます。金利の上昇傾向もあって、住宅ローンの負担も今以上に大きくなるかもしれません。
また、自己所有である以上、前述したように固定資産税などの税金、管理費や修繕積立金などが必要です。さらに資産性があるがゆえに、自分が亡くなったあとのマンションをどうするのかも、考えておかなければなりません。
家賃も今より上がる可能性はありますが、賃貸には住み替えが容易で、ランニングコストの負担がないといった持ち家にないメリットもあります。そのため、自分の価値観を考えながら、どちらが自分にとってのメリットが大きいのか考えることが大切です。
まとめ
ローンを完済した持ち家があれば家賃を支払う必要がなく、いざとなれば売却できるほか、老後の住まいとしての安心感もあります。ただ、これから購入する場合は、購入資金の負担が大きくなりがちで、ランニングコストも必要です。
老後の住まいを持ち家にするか、賃貸にするかは、それぞれの資産状況や価値観、ライフスタイルによっても変わります。いずれ訪れる老後を想像しながら、どちらがいいのかを検討してみてはいかがでしょうか。
出典
財団法人東日本不動産流通機構 レインズデータライブラリー
執筆者:松尾知真
FP2級