離婚して「養育費」をもらわず、子ども2人を育てる姉。支払いは“義務”だと思っていたのですが、不払いの場合も多いの? 子どもが「高校卒業までにかかる費用」もあわせて解説

配信日: 2025.05.28

この記事は約 4 分で読めます。
現代は3組に1組が離婚する時代と言われます。離婚後、新たな人生をスタートさせる人たちもいますが、子どもがいる夫婦の場合、離婚後も「父親・母親」として協力して子どもを養育していくことも多いでしょう。その「協力」のひとつが子どもを育てるための「養育費」です。
 
実はこの養育費、親権を持った親が当然受け取っているものというイメージがあるかもしれませんが、タイトルの事例のように、受け取っていなかったり、約束通り支払われなかったりというケースもあるようです。養育費の支払いは義務ではないのでしょうか。
 
本記事では、養育費について、その相場や不払いのときにとるべき行動も含めて解説していきます。
新川優香

養育費の支払いは「義務」なの?

夫婦が離婚して、夫婦関係が解消されたとしても、親子の関係がなくなるわけではありません。子どもを育てることは親の義務なので、離婚したとしても親は子どもに対して扶養の義務があるということになります。
 
ただし現実的には、夫婦のどちらかが「親権」を持ち育てていくことになるでしょう。その場合は、親権を持たなかった方の親は子どもを育てるための「養育費」を払うことで、子どもの扶養義務を果たすということになります。この養育費は子どもの生活を守るために必要なもので、民法でも支払いの義務が明記されています。
 
そのため、基本的にこの「支払い義務」は免除されることはなく、たとえ「生活に余裕がない」という理由でも、養育費の未払いは許されず、自分の生活水準を下げてでも支払う必要があるのです。
 

養育費を払っていない人ってどれくらいいるの?

養育費の支払いは、親としての義務ですが、実はきちんと相手側に支払われていないのが現状です。厚生労働省の調査によると、全国ひとり親世帯等において、離婚時に養育費の取り決めをおこなっているケースは母子世帯で46.7%、父子世帯で28.3%となっています。
 
しかしながら、実際に養育費を受け取っている家庭は、母子家庭で28.1%、父子家庭で8.7%です。つまり、母子家庭においては約7割、父子家庭においては約9割が、養育費を受け取っていないということになり、日本では離婚後の養育費の未払いがとても多いことが分かります。
 

養育費の相場

養育費の支払いは義務ですが、具体的な金額については明確な取り決めはありません。離婚時に両親の間で合意していれば、養育費の金額は自由に決めることができます。
 
厚生労働省の調査によると、養育費の1世帯平均金額は母子家庭で5万485円、父子家庭で2万6992円となっています。ただし両親のそれぞれの収入と子どもの人数・年齢によって養育費は異なるので、養育費の額に迷った場合は、裁判所ホームページにある「養育費・婚姻費用算定」を参考にするといいでしょう。
 

子どもが高校卒業までにかかる費用

子ども一人が高校を卒業するまでにかかる教育費はどのくらい必要なのでしょうか。文部科学省の「令和5年度子供の学習費用調査」によると、幼稚園から高校まですべて私立に通った場合は約2000万円、公立に通った場合は約600万円が必要となっています。
 
仮に子どもが3歳のときに離婚し、高校卒業までの15年間養育費を支払う場合、すべて公立に通ったとしても毎月教育費だけで約3万円がかかることになります。これに加えて子どもの食費・被服費・医療費など生活にはさまざまな経費がかかるので、子どもが困らないよう、よく話し合って養育費を決めていく必要があるでしょう。
 

養育費を払ってもらえない場合、どうすべき?

もしも、相手が養育費の支払いに応じてくれない場合はどうしたらいいのでしょうか。確実性が高いのは、弁護士への相談です。弁護士を通じて相手側に内容証明郵便を出したり、家庭裁判所に「履行勧告」を出してもらうことで、相手への支払いを命じることができるため、かなり高確率で養育費の支払いにこぎつけられる可能性があるでしょう。
 
しかし、弁護士費用は高額になることもあり、せっかく養育費を受け取れても、費用面で負担になる可能性があります。このような場合は、厚生労働省の委託事業である「養育費相談支援センター」や、各自治体の「母子家庭等就業・自立支援センター」などで相談することもおすすめです。
 
また離婚時に養育費の取り決めについては口頭だけでなく、文面にしておくと、いざというときにスムーズに進めることができるでしょう。
 

養育費は子どもを健全に育てるために必要なもの

養育費の支払いは親の義務ですが、実は受けとっていない家庭が多くあります。支払えない・支払わないという理由には個別の事情があるかもしれませんが、養育費は子どもの健全な生活を守る上でとても大切なものです。
 
大人のわがままでなく、子どものためにもきちんと支払う、また受け取れるようにし、受け取りに関してトラブルが起こった場合は、弁護士や地域の支援センターなどに相談するようにしましょう。
 

出典

e-Gov法令検索 民法
厚生労働省 令和3年度 全国ひとり親世帯等調査
文部科学省 令和5年度子供の学習費調査
 
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級

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