祖母がインターネット通販にはまっています。不必要な「高額商品」まで買ってしまっているのですが、クーリングオフってできませんか?
配信日: 2025.05.28
そういったケースでは、「思っていたものと違った」「必要なかった」と後悔し、いざ返品しようとしても「クーリングオフが使えない」と言われるようです。
インターネット通販はクーリングオフができないのでしょうか? この記事では、ネット通販での返品のルールについて解説します。

行政書士
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
クーリングオフとは? ネット通販にも適用されるのか
クーリングオフとは、契約後一定期間内であれば無条件で契約を解除できる制度です。主に、次のような取引で適用されます。
・訪問販売(8日以内)
・電話勧誘販売(8日以内)
・マルチ商法(20日以内)
・モニター商法(20日以内)
しかし、インターネット通販(通信販売)には、クーリングオフは適用されません。これは、消費者が自分の意思で商品を選び、購入する仕組みであるためです。この点は、高齢者などインターネットが不得意な方であっても変わりありません。
ネット通販での返品は可能?
返品の可否は「特定商取引法」における分類によります。インターネット通販は、特定商取引法の「通信販売」というものに分類されます。この法律では「販売者は返品の可否とその条件(返品特約)を広告や最終確認画面に明示する義務がある」とされています。
つまり、ウェブサイトに「返品・交換不可」と記載されている場合は、基本的に返品はできません。一方で、「返品可」となっている場合は、その条件に従って返品できる可能性があります。
販売サイトごとにルールが異なるため、購入前に返品ポリシーを確認することが重要です。なお、以下のような場合、クーリングオフではなくても返品などをできる可能性があります。
・商品が破損・故障していた
・注文した商品と違うものが届いた
・明らかに説明と異なる商品が届いた
この場合、販売店や通販サイトのカスタマーサポートに連絡することで、返品や交換対応をしてもらえる可能性があります。なお、申込み画面に返品特約の表示がない場合は、商品を受け取った日を含めて8日以内であれば、送料消費者負担で返品をすることも可能です。
ネット通販トラブルを防ぐ方法
最近では、サプリメントや化粧品の「定期購入」トラブルが増えています。初回価格が安くても、解約しないと自動的に高額な商品が送られてくるケースがあります。
定期購入はクーリングオフができませんが、「特定商取引法」に基づき、解約の申し出ができる場合もあります。購入時の契約内容を確認し、解約方法が明記されているかをチェックしましょう。
また、トラブル防止のため、クレジットカードの明細を定期的にチェックし、不審な請求がないか確認することも大切です。自身に覚えのない不正利用だった場合、クーリングオフとは別の問題が発生する可能性もあります。確認し、不正な請求があった場合、次のような対応が必要です。
・クレジットカード会社に問い合わせ、請求をストップできるか確認する。
・購入した通販サイトに連絡し、キャンセルできるか交渉する。
家族と一緒に購入することで「本当に必要なものか?」と確認し合う習慣を作ることも、トラブル回避のポイントです。その際、可能であれば家族が一緒に商品をチェックすることが理想です。衝動買いや不必要な購入が確認できた場合、次回以降それを防ぐことができるでしょう。
まとめ
ネット通販はクーリングオフの対象外ですが、返品ポリシーや販売店の対応によっては返品できる場合もあります。また、商品の不良や誤配送があった場合は、カスタマーサポートに問い合わせることで対応してもらえることが多いです。
もし祖母がネット通販にはまりすぎて、不必要なものを購入してしまうことが増えているなら、一度一緒に購入履歴を見直してみましょう。家族がサポートすることで、不要な購入が減るかもしれません。
執筆者:柘植輝
行政書士