実家が空き家になり、使い道に困っています。「交通量の多い場所」ですが売りに出すのと貸しに出すのではどちらが利益があるのでしょうか。
配信日: 2025.05.26

この記事では、空き家を売却する場合と賃貸に出す場合の収益性に加え、それぞれのリスクや管理の手間まで徹底的に比較します。交通量の多い立地という強みを最大限に生かすために、最適な活用方法を見つける参考にしてください。

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目次
売却か賃貸か? 空き家活用の基本
空き家の活用方法として、まず検討されるのが「売却」と「賃貸」です。
売却の最大のメリットは、「まとまった現金が手に入る」ことです。売却できれば、管理の手間や固定資産税などの維持費の負担はなくなります。
一方で、売却価格は市場の動向に左右されやすく、売却までに時間がかかる可能性があります。また、一度手放してしまうと、取り戻すことはできません。
賃貸のメリットは、毎月安定した収入が期待でき、将来的に自分や家族が再び住む可能性を残せる点です。人の出入りがあることで、住宅の老朽化をある程度防ぐこともできます。
しかし、入居者募集や修繕などの手間がかかり、空室リスクや家賃滞納リスクも考慮する必要があるでしょう。さらに、築年数の経過により、将来的に売却しにくくなる可能性もあります。
そのため、売却と賃貸のどちらがよりお得なのかをしっかり比較することが重要です。
売却したらいくら手元に残るか? 収益シミュレーション
交通量の多い立地は、商業地としての価値が高く、住宅地としても一定の需要が見込めるため、売却価格が高くなる可能性があります。ただし、騒音や振動が住宅価値を下げる要因になる場合もあるため、注意が必要です。
例えば、土地の評価額が3000万円、建物の評価額が500万円の場合、売却価格が3500万円になると仮定します。仲介手数料や税金などの諸費用を算出すると、仲介手数料の上限(法律で定められた計算式)では、「122万1000円」が必要です。
これに印紙税(2万円)や登記費用(1万円)など差し引くと、手元に残る金額は約3375万円と試算できます。
15年でどれくらい収入があるのか賃貸運用の収益を試算
賃貸管理には、建物や設備の維持管理、入居者対応、資金管理などが必要です。多くの場合、不動産管理会社に委託することで手間を軽減できますが、管理費用が発生します。
例えば、月額15万円で15年間賃貸に出すと、家賃収入は年間180万円、総額2700万円です。
これに対し、リフォーム費用200万円をかけ、不動産管理費や固定資産税・修繕費を家賃の2割(年間36万円)、空室率1割(年間18万円)と仮定すると、実質年間収入は約126万円になります。この収入が15年間続くと、総額は1890万円となります。
さらに、その後2000万円で売却できた場合、仲介手数料(72万6000円)、印紙税(2万円)、登記費用(1万円)を差し引くと、売却益は約1924万円です。
賃貸収入と合わせると最終的に得られる金額は約3814万円となるため、売却のみよりも高い収益が見込める可能性があります。
家賃を高く設定できるか、長期間賃貸物件として安定した運用できるかが、収益の鍵となります。賃貸で黒字を目指すには年数が重要になるため、物件の耐用年数も考慮する必要があります。
交通量が多さは強みになるのか? 立地を生かす賃貸・売却の判断ポイント
交通量の多い空き家には、「賃貸」と「売却」それぞれの活用法にメリットとデメリットがあります。
賃貸の場合、騒音や振動によって入居者が付きにくいこともありますが、店舗や事務所などの商業利用であれば高収益を期待できる可能性があります。一方、売却の場合は、交通量の多さが魅力となって早期売却につながることもありますが、住宅としての価値は低く見積もられるリスクもあるでしょう。
どちらを選ぶにしても、騒音対策の有無や用途地域の確認、ターゲット層の明確化が重要です。賃貸であれば、防音リフォームを施したり、事業用物件として転用したりする方法があります。売却であれば、商業用地としての価値をアピールするのも一つの手です。
このように、物件の特徴に応じた戦略が求められるため、専門家への相談も有効です。
実家の立地を味方に、収益につなげよう
交通量の多い実家の空き家は、「売却」と「賃貸」それぞれに一長一短があります。立地特性を最大限に生かすには、不動産の専門家に相談し、物件の査定や賃料相場、管理方法などについてアドバイスを受けることが重要です。
複数の不動産業者の意見を比較し、ご自身の状況や希望に最も合った活用方法を選ぶことをおすすめします。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー