国民全員に「5万円給付」の案が出たけど、「減税のほうがいい」という意見も! 実際どんな違いがあるの? それぞれのメリット・デメリットを解説

配信日: 2025.05.24

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2025年春、政府・与党内で「国民一人あたり5万円の現金給付案」が浮上し、注目を集めました。物価高や米国の関税措置への対応策として検討されましたが、世論の反発や財源確保の課題から、政府は補正予算案の提出を見送り、給付案の実施を断念する方針を固めました。一方で、「給付より減税のほうが効果的では?」という声も根強くあります。
 
この記事では、現金給付と減税の違いや、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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5万円給付案の背景と現状

政府は、物価高や米国の関税措置による影響を受け、国民への現金給付を検討しました。所得制限を設けず、一人あたり5万円を給付する案が浮上し、補正予算案に盛り込む方向で調整が進められていました。
 
しかし、野党からは「税金を給付金でばらまくなら、最初から取るな」という批判があり、世論の反発も強まったことから、政府は補正予算案の提出を見送り、給付案の実施を断念する方針を固めました。
 

現金給付と減税、それぞれの特徴

現金給付と減税は、どちらも国民の家計支援策として用いられますが、特徴が異なります。
 
まず、現金給付は国民に直接現金を支給する方法です。即効性があり、所得の低い層にも確実に支援が届きますが、財政負担が大きく、貯蓄に回る可能性もあります。一方で、減税は所得税や消費税を減らすことで、間接的に可処分所得を増やす方法です。消費を促進し、経済全体の活性化が期待されますが、効果が現れるまでに時間がかかる場合があります。
 
野村総合研究所の試算によれば、一人あたり5万円の給付(総額約6兆円)は、名目GDPを0.25%程度押し上げる効果があるとされています。一方、同じ6兆円規模の消費税減税(2.5%ポイント引き下げ)は、名目GDPを0.51%程度押し上げると試算されており、GDPに与える影響は減税のほうが大きいという試算結果が出ています。
 
しかし、現金給付に比べて減税は一度実行したら元に戻すことは非常に難しいという課題もあります。
 

過去の給付施策との比較

図表1のとおり、過去にも、政府は経済対策として現金給付や減税を実施してきました。2020年のコロナ禍に実施した特別定額給付金は、全国民に一律10万円が支給され、即効性がありましたが、申請や給付の遅れが問題視されました。
 
2024年の定額減税は、課税対象者に対して所得税と住民税が減税され、持続的な効果が期待されましたが、低所得者層への効果は限定的でした。非課税世帯支援は、住民税非課税世帯に対して現金給付が行われ、低所得者層への直接的な支援となっています。
 
図表1
図表1
各施策のHPをもとに筆者作成
 

今後の展望と課題

現金給付と減税のどちらが効果的かは、経済状況や政策目的によって異なります。即効性を重視するなら現金給付、持続的な経済成長を目指すなら減税が適しているとされています。しかし、いずれの施策も財源の確保が課題となり、慎重な検討が必要です。
 
今後、政府は物価高や経済の動向を注視しながら、適切な経済対策を講じていくことが求められます。国民としても、政策の動向に注目し、正確な情報をもとに判断することが重要です。
 

出典

内閣官房 定額減税・各種給付の詳細
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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