「年収500万円」の35歳です。そろそろ家を建てるか、分譲マンションの購入を考えています。どちらのほうがお得でしょうか?
配信日: 2025.05.26

一戸建てを建てるべきか、それとも分譲マンションを購入すべきか。どちらがお得かは単純に判断できず、住宅タイプごとの特徴や、将来のライフプランに応じた選択が重要になります。
本記事では、住宅の購入価格の違いや、住宅ローンの目安、各タイプのメリット・デメリット、そしてライフプランに応じた視点から、住まい選びのポイントを整理していきます。

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目次
一戸建てと分譲マンションの価格感の違い
一戸建てとマンションでは、購入価格の構成や相場感に違いがあります。住宅金融支援機構「2023年度 フラット35利用者調査」によると、土地付注文住宅の全国平均価格は4903万円、マンションは5245万円となっています。
また、一戸建ては「土地+建物」の価格となるため、郊外に行くほど土地代を抑えられるメリットがあります。一方で、マンションは立地重視で価格が上がる傾向にあり、同じ予算でも「広さや間取り」は一戸建ての方が取りやすくなります。
年収500万円での住宅購入を考えるときの予算とローンの目安
住宅ローンの借入可能額は一般的に年収の5~7倍とされています。つまり、年収500万円の場合、2500万円~3500万円程度が目安となります。しかし、無理のない返済計画を立てるためには、返済負担率(年間返済額が年収に占める割合)は手取り収入の20%~25%が理想とされます。
例えば、年収の80%を手取り収入とすると、年400万円。35年ローン、全期間固定金利2%、元利均等返済で設定した場合、筆者の計算と一般財団法人金融普及協会のシミュレーションを行った結果、返済額と借入可能額は以下の通りです。
返済額:年間80万円、月々約6万7000円
借入可能額:約2010万円
返済額:年間100万円、月々約8万3000円
借入可能額:約2515万円
このように、現在の家賃や生活費と照らし合わせながら、無理のない範囲で予算を立てることが重要です。
一戸建てと分譲マンションのメリット・デメリットを比較
住宅タイプによって、費用やライフスタイルに大きな違いがあります。以下に、それぞれの特徴をまとめました。
一戸建ての特徴
・土地が自己所有なので、将来的に資産として残りやすい
・隣家と距離があるため、騒音・プライバシー面で安心
・間取りや外構の自由度が高く、ライフスタイルに合わせて柔軟にリフォーム可能
・外壁や屋根などの修繕費を自分で負担する必要がある
・セキュリティー面は自己管理が必要
・利便性の高い駅から近い土地などは価格が高く、選択肢が限られる
分譲マンションの特徴
・駅近など好立地の物件が多く、通勤・通学に便利
・オートロックや管理人常駐などセキュリティーが整っている
・管理組合が定期的に修繕計画を実施するため、建物管理の負担が少ない
・毎月、管理費・修繕積立金が発生し続ける
・ペット飼育やリフォームに制限がある場合がある
・上下階や隣室との距離が近く、騒音トラブルが起きやすい
ライフプランに応じた選択の考え方
住宅選びは、「今の自分」だけでなく「将来の自分」を見据えて判断することが大切です。例えば、以下のような観点から比較してみるとよいでしょう。
・家族構成の変化
将来的に子どもが増えることを考えるなら、間取りや部屋数の柔軟性がある一戸建ては有利です。庭や駐車スペースがあれば、子育て環境としても快適です。
・転勤や引っ越しの可能性
仕事で転勤がある場合、マンションの方が駅近で流動性が高く、売却・賃貸しやすい点で有利です。逆に一戸建ては売却に時間がかかる可能性があります。
・老後の暮らし
将来的に体力が落ちたときのことも視野に入れると、エレベーターがあり、バリアフリー設計が進んだマンションの方が安心という意見もあります。
自分に合った住まいを見つけるために
一戸建てと分譲マンションには、それぞれ異なる魅力とリスクがあります。「どちらが得か」は、住宅の価格や広さだけでは決められず、将来のライフプラン・働き方・家族構成など、多くの要素と照らし合わせて考えることが大切です。
無理のないローン計画と、長期的な住まい方を意識すれば、自分に合った住まいを選ぶことは十分に可能です。迷ったときは、立地や維持費の比較、資産価値、住み心地などの「自分にとっての優先順位」を整理してみましょう。
出典
住宅金融支援機構 2023年度 フラット35利用者調査
一般財団法人住宅金融普及協会 住宅ローンシミュレーション 借入可能額の計算
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー