海外は日本と比べて「学費が安い」と聞きます。海外の「国立大」は安い学費で通えますか?
配信日: 2025.05.24

本記事では、なぜ海外の国立大学は安いのか、その背景を解説しながら、実際の学費や日本人留学生が対象となるケースについても紹介します。

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海外の国立大学はなぜ学費が安いの?
まず理解しておきたいのは、「なぜ一部の国では大学の学費が安いのか?」ということです。その理由は主に以下のとおりです。
1. 国が教育を“投資”と捉えている
教育を社会の基盤とし、高等教育を無償あるいは安価に提供することで、人材育成を図ろうとする考え方です。特にドイツや北欧諸国に多く見られます。
2. 公立大学が圧倒的に多く、私立大学の影響が少ない
日本のように私立大学が多い国と異なり、国立・公立大学が主流の国では、政府の教育予算によって学費が抑えられています。
3. EU加盟国同士での“相互優遇制度”がある
EU加盟国間では、エラスムスなどの制度により、他国からの学生にも自国民と同様の学費を適用する場合が多く、学費負担が軽くなっています。ただし、国やプログラムによっては一部の授業料や登録料が必要な場合もあります。
本当に安い?主要国の国立大学の学費を比べてみよう
日本人が進学可能な主要国の国立大学の学費(非EU圏の学生向け)を表1に紹介します(2024年時点のおおよその目安)。
表1
国名 | 学費(年間) | 特徴 |
---|---|---|
ドイツ | 無料(多くの州) | 管理費として1学期100~350ユーロ(約1.5~5万円)程度が必要。 |
フランス | 約44万円 | 学士課程2770ユーロ。修士課程は約60万円。 |
オーストリア | 約24万円 | 非EU学生も安価。生活費はやや高め。 |
スウェーデン | 約150〜240万円 | 奨学金制度が豊富に用意されている。 |
フィンランド | 約80〜320万円 | 奨学金あり。英語プログラムが多い。 |
各種サイトをもとに筆者作成
このように、ドイツやフランス、オーストリアなどは日本人を含む非EU圏の学生にも比較的開かれており、実際に安い学費で学べる環境が整っています。
非EU圏の日本人でも学費が安くなるケースは?
「外国の国立大学は安いらしいけど、日本人も対象?」という疑問を持つ方も多いでしょう。答えは「国によって異なるが、可能なケースも多い」です。
ドイツでは多くの州立大学で日本人を含む非EU圏の学生にも学費が無料ですが、一部の州では有料化されています。オーストリアも非EU学生向けの学費は比較的安価です。フランスでは、非EU圏の学生にも学費が課されますが、補助金や奨学金によって大幅に軽減されることがあります。
フィンランドやスウェーデンのように高額な学費が設定されている国でも、英語コースや成績優秀者を対象とした奨学金制度が整っており、条件を満たせば全額免除されることもあります。つまり、「安さ」だけではなく、奨学金や免除制度の有無をチェックすることが重要です。
まとめ
海外の国立大学には、「国が教育を支えている」という理念のもと、学費が抑えられているケースが多数あります。特にドイツやフランス、オーストリアは、日本人留学生にとっても費用負担が比較的少なく、人気の留学先となっています。
ただし、学費の安さだけに注目せず、言語の壁、生活費、ビザ条件、奨学金の有無なども総合的に考慮することが大切です。国ごとの制度をよく理解し、自分にとって最適な国と大学を選びましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー