出産費用が「原則無償化」に? 現在「出産費用」を抑えるためにはどのような制度があるかおさらい

配信日: 2025.05.24

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「出産費用が高くて不安……」そんな声に応えるように、厚生労働省が「出産費用の無償化」に向けた方針を発表しました。現在、出産にかかる費用は平均で50万円以上とされ、地域差も大きく、家計にとっては決して軽くない出費です。しかし、支援制度を活用すれば、経済的な負担を大きく減らせます。
 
この記事では、出産費用を抑えるために使える制度と、今後の無償化の動きについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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2026年度を目途に、出産費用が原則無償化へ

2025年5月、厚生労働省は2026年度を目途に、標準的な出産費用における自己負担の原則無償化を実現する方針を発表しました。これは、正常分娩も公的医療保険の適用対象とし、自己負担をなくすことを目指すものです。
 
厚生労働省によると、現在、日本の平均的な正常分娩の出産費用は令和6年度上半期で約52万円ですが、地域や医療機関によって差があります。例えば令和5年度では、東京都が約62万5000円、熊本県が約38万9000円と、都道府県間で大きな開きが見られました。
 
出産費用の無償化は、経済的理由で出産をためらう家庭を支援し、出生率の向上を図ることが期待されています。しかし、制度設計には地域の産科医療提供体制や医療機関の経営実態への配慮が必要であり、具体的な実施時期や方法については今後の議論が求められます。
 

出産育児一時金で費用負担を軽減

出産育児一時金は、健康保険や国民健康保険の被保険者などが出産した際に一時金が支給される制度で、厚生労働省によれば、2023年4月より支給額が42万円から50万円に引き上げられました。ただし、妊娠週数が22週に達していないなど、産科医療補償制度の対象とならない出産の場合は、支給額は48万8000円です。
 
また、「直接支払制度」を利用すれば、医療機関が保険者に直接請求することで、被保険者の経済的負担を軽減できる仕組みが整っています。これにより、出産費用を全額事前に用意する必要がなくなり、出産時の負担が軽くなります。
 

医療費の負担を軽減する高額療養費制度と医療費控除

正常分娩は公的医療保険の対象外ですが、帝王切開など、以下のような異常分娩の場合は保険が適用されます。

●帝王切開
●児頭を牽引する吸引・鉗子分娩
●妊娠高血圧症候群や切迫早産などの合併症が発生した場合

妊娠・出産にともない、保険が適用される1ヶ月の医療費が一定額を超えたときは、高額療養費制度を利用することで負担を軽減できます。厚生労働省によれば、例えば70歳未満で、年収約370万~770万円の方で1ヶ月の医療費が100万円かかった場合、ひと月の自己負担上限額は8万7430円です。
 
さらに、医療費控除を利用すれば、所得税や住民税が軽減される可能性があります。ただし、出産育児一時金などで補てんされた分は、医療費控除額を計算する際に医療費から差し引く必要があります。
 

まとめ

出産費用の無償化に向けた動きが進んでいますが、現時点では出産にかかる費用を軽減するための制度を活用することが重要です。出産育児一時金や高額療養費制度、医療費控除などの公的制度を利用することで、経済的負担を軽減できます。
 
また、自治体によっては助成金や出産費貸付制度など、独自の支援策を設けている場合もあります。妊娠が判明したら、早めに自治体の窓口で情報を収集し、必要な手続きを行うことが大切です。
 
将来的には、出産費用の無償化が実現し、誰もが安心して出産できる社会が期待されますが、それまでの間は既存の制度を最大限に活用しましょう。
 

出典

厚生労働省 出産費用の状況等について(2、7ページ)
厚生労働省 出産育児一時金の支給額・支払方法について
厚生労働省保険局 高額療養費制度を利用される皆さまへ (平成30年8月診療分から)(5ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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