マイホームが古いので異常気象や地震で崩壊しないか心配……。いまは貯金がないのですが、補強工事のための「補助金」は出ないのでしょうか?

配信日: 2025.05.25

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マイホームが古いので異常気象や地震で崩壊しないか心配……。いまは貯金がないのですが、補強工事のための「補助金」は出ないのでしょうか?
昨年1月1日、能登半島地震が発生し現在も復興が続いています。今年も3月28日、ミャンマーで大地震があり、隣のタイなどでも大きな被害が出ました。地震の恐ろしさを改めて実感した人も少なくないでしょう。
 
日本は地震大国です。古い住宅にお住まいの方は、地震に備えましょう。本記事では、国や自治体の耐震診断・補強工事の費用に対する助成について解説します。
新美昌也

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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耐震診断・補強工事の費用

一般財団法人日本建築業連合会によると、耐震診断の費用の目安は、木造住宅の場合で1棟あたり12~25万円程度です。その際の現地調査については、壁の仕上げ材をはがし隠れた部材を確認したりせず、目視調査や図面照合をする範囲のものです。
 
鉄筋コンクリート造りの耐震診断の費用(現地調査費用を含む)は、1平方メートルあたり500〜2000円程度です。延床面積が1000平方メートル以下の建物の耐震診断費用は1平方メートルあたり2000円以上となります。鉄骨造りの耐震診断費用(現地調査費用を含む)は、1平方メートルあたり1700~2400円です。
 
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)によると、木耐協を通じて補強工事を実施した施主のアンケートを集計すると、補強工事の平均額は約167万円(中央値140万円)でした。これは数万円程度の基礎のひび割れ補修から、数百万円もする大規模な工事が含まれています。
 
なお、耐震診断を行った後に耐震補強工事を実施された方は全体の34.41%でした。また、この統計は2021年後半から始まった物価高騰の影響が反映されておりませんので、あらかじめご了承ください。
 

自治体の助成

これらの高額な費用に対して負担を軽減するため、自治体では建物の耐震診断や耐震性を向上させる補強工事などへの助成を行っています。
 
例えば、ある自治体の木造建築物の助成制度をみると、簡易耐震診断、耐震診断・補強計画、耐震補強工事、簡易補強工事について助成があります。住宅の簡易耐震診断は無料、耐震診断・補強計画は診断および補強計画作成費用の全額(限度額なし)となっています。
 
耐震補強工事については、工事費用の2分の1(限度額300万円)、高齢者(65歳以上)または障害者手帳の交付を受けた方がいる世帯工事費用の全額(限度額300万円)となっています。
 
簡易補強工事の場合は、工事費用の2分の1(限度額150万円)、高齢者(65歳以上)または障害者手帳の交付を受けた方がいる世帯工事費用の全額(限度額150万円)となっています。
 
木造建築物以外の住宅には、耐震診断、補強設計、耐震補強の助成を受けられます。耐震診断は診断費用の全額(限度額50万円)、補強設計は設計費用の全額(限度額50万円)です。耐震補強工事は木造建築物の助成と同じです。
 
助成制度を利用するには、耐震診断や補強設計、耐震補強工事の契約を結ぶ前に交付の申請を行い、助成金交付の決定を受ける必要があります。契約が行われた後に自治体に申請した場合は、助成対象となりませんので注意が必要です。
 
また、申請手続きに時間がかかる場合がありますので、お早めに自治体の窓口に相談しておくことが大切です。
 

国の助成

現行の耐震基準に適合する耐震リフォームを行い、昭和56年5月31日以前に建築されたものであること等の一定の要件を満たす場合、所得税の控除・固定資産税の減額措置が受けられます。住宅ローン利用の有無にかかわらず適用されます。
 
所得税とは、1月1日から12月31日までの1年間に生じた個人の所得に課される税金です。税務署への確定申告で所得税の控除額は、最大で62万5000円です。
 
固定資産税とは、保有する土地や建物等の固定資産について、1月1日時点の評価額に応じて課される税金です。自治体に申告手続きを行うと、固定資産税の2分の1が原則1年間減額されます。
 
償還期間10年以上のローン利用し、一定の要件を満たした耐震リフォームを行う等には、原則10年間、対象となる改修工事費用相当分の年末ローン残高の0.7%に相当する額が確定申告により所得税から控除されます(最大控除額140万円)。
 
所得税から控除しきれない場合、翌年の住民税からも一部控除されます(最大9万7500円)。対象となる方はお住まいの自治体に相談し、活用しましょう。
 

出典

一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会
国土交通省 住宅をリフォームした場合に使える減税制度について
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合 木耐協調査データ
一般財団法人日本建築業連合会 耐震診断とは
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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