転勤で今の部屋から引っ越し!→管理会社に「壁紙の色が落ちているから」と、10万円を請求された! 経年劣化でも払う必要はあるの?「原状回復の費用負担」について解説
配信日: 2025.05.23
例えば、管理会社から壁紙の色が落ちているといわれたときには、賃借人に壁紙を張り替えるための費用負担が発生するのでしょうか。
本記事では、引っ越し時の原状回復に関する費用負担などについて解説するので、気になる人は参考にしてください。

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目次
原状回復のガイドラインに沿って費用がどうなるか決まる?
退去時に賃借人に費用負担があるときには、敷金から清算されます。その中に原状回復費用が含まれるケースも多いです。この原状回復をめぐって、退去時にトラブルに発展したり、自分が思っていたよりも高額が請求されたりすることも珍しくありません。
こうした事態を受け、国土交通省は、原状回復ガイドラインを公表しています。原状回復義務は、「経年劣化・自然損耗」なのか、「善管注意義務違反・故意・過失・その他」なのかが重要です。
原状回復のガイドラインでは、基本的な考え方として、通常通り生活をしていて経年劣化するのは賃借人の責任ではないので、原状回復費用を支払う必要がないとしています。
一方、明らかに通常の使用方法ではない使い方で損耗・毀損(きそん)した場合、原状回復は賃借人がおこなわなければなりません。
社会通念上要求される程度の注意を払って建物を使っていても、経年劣化は避けられないため、賃借人の故意や過失によるケース以外では、賃貸人が費用負担をします。後からの問題やトラブルを避けるため、入居時にキズや状態の確認を賃借人と賃貸人の立ち合いでおこないましょう。
普通に生活をしていて壁紙が経年劣化した場合は賃借人に責任はない
普通に生活をしていて壁紙が経年劣化によって色が落ちた場合、賃借人には責任はないといえます。このような経年劣化を修理するための費用は、普段から支払っている家賃に含まれているという考え方です。
経年劣化によるほかのものでは、寿命によって機器が故障する、家具の設置によって生じた床やカーペットのへこみ、テレビや冷蔵庫の後部壁面の電気ヤケなどがあります。
また、次の入居者確保のためにおこなうフローリングのワックスがけや、ハウスクリーニング、破損していないものの交換なども賃借人に負担責任はありません。
管理会社などから請求されると、自分が支払う必要があると感じるかもしれませんが、経年劣化に関するものは責任がないことは理解しておきましょう。
通常の使用と認められないときには原状回復費用の支払いが発生する
原状回復のガイドラインにおいて賃借人に責任がないと判断されるのは、あくまでも普通に生活をしている場合です。そのため、普段からの使い方や汚れた原因によっては、原状回復費用の支払いが発生します。
不注意によって発生させたキズや色落ち、カーペットに飲み物をこぼしてできたシミ、日常の清掃を怠った結果として油汚れが固着する、クーラーからの水漏れを放置してカビが発生するなどです。
ほかにも、室内に匂いがついているケースも通常の使用と認められない可能性があります。ペットの匂いや、タバコの匂いなどが対象になります。住んでいる人はそこまで臭わないと思っていても、第三者からすると強い臭いを感じることは珍しくありません。
まとめ
引っ越しをするときには、原状回復のガイドラインを参考にしながら、本当に自分が負担する必要があるのかを判断することが大切です。基本的には、経年劣化によるものは責任が生じず、通常の使用を超えたものには責任が生じます。
引っ越し時にどれくらいの原状回復費用がかかるかを確認する際は、具体的な内容について聞いておきましょう。
出典
一般社団法人全国賃貸不動産管理業協会 原状回復基礎知識
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー