5000円札に孫が油性マジックで「落書き」をしてしまいました。これって使用しても問題ないのでしょうか?
配信日: 2025.05.23

この記事では、落書きされた紙幣の使用や交換の可否、法的な扱い、そして硬貨との違いについて分かりやすく解説します。

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お札に落書きしても使えるの?
結論からいえば、落書きされたお札でもほとんどの場合、問題なく使用できます。ただし、店舗によっては見た目の問題から受け取りを拒否されることもあるので注意が必要です。
また、自動販売機やATMでは読み取りができず、使用できないトラブルが起こる可能性もあります。つまり「使えない」というよりも「使いにくい」ことが実情といえます。このような不便や不安がある場合は、金融機関で新しいお札に交換してもらうことが安心でしょう。
お札はセーフでも硬貨はNG? 法律上の違いに注意
紙幣に落書きをする行為は、必ずしも法律違反に該当するわけではありません。しかし、同じ「お金」であっても硬貨については、法律上より厳しい取り扱いがされており、損傷行為は明確に禁止されています。
ここでは、お札と硬貨における法的リスクの違いについて詳しく見ていきましょう。
お札に落書きしても、通常は罪に問われない
お札に落書きをした場合の違法性が気になるところですが、基本的には、それ自体が法律違反にあたるわけではありません。ただし、実際に使用する際には前述のような注意が必要です。
お札に本来はない書き込みがあると、受け取る側によっては偽札と疑われる可能性があります。特に、額面や肖像などの印字が判別しにくくなるほどの落書きがある場合は、トラブルの原因になりかねません。
「違法ではないから自由に落書きしてもいい」ということではありません。お札は多くの人が共通して使う公共の財産である、という意識を持つことが大切といえます。
硬貨の取り扱いには注意が必要
一方、硬貨については取り扱いに注意が必要です。というのも、硬貨を故意に損傷する行為は法律で明確に禁止されているからです。この点については、「貨幣損傷等取締法」によって次のように定められています。
(1)貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶしてはならない。
(2)貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶす目的で集めてはならない。
(3)(1)(2)の規定に違反したものは、これを一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する
ここでいう「貨幣」とは、1円、5円、10円、50円、100円、500円の6種類の硬貨を指しており「紙幣(日本銀行券)」は対象外です。つまり、お札への落書きはこの法律には該当しませんが、硬貨に対する落書きや加工は、処罰の対象となる可能性があります。
お札と硬貨では、法的リスクの範囲が異なる点を正しく理解しておくことが重要です。
落書きされたお札の交換方法
落書きされたお札は、日本銀行法第48条に基づき、手数料無料で新しいお札に交換することができます。交換は日本銀行の本店や各支店で受け付けています。
ただし、交換の可否は法令等で定められた基準に基づいて判断されるため、審査に時間がかかる場合もあります。スムーズな対応を希望する場合は、事前に予約をしてから来店することをおすすめします。予約なしでも対応は可能ですが、混雑状況によっては当日中に交換できないこともあるため、注意が必要です。
また、都市銀行や地方銀行での交換については、対応の可否が銀行ごとに異なります。事前に電話やWebサイトで確認しておくと安心です。
落書きされたお札は使用可能。硬貨は法律違反となる場合も
落書きされたお札は、額面が読み取れる状態であれば基本的にそのまま使用できますし、罪に問われることもほとんどありません。
ただし、受け取りを拒否されたり、自動販売機やATMで使えなかったりすることもあるため、実際に利用するとなると不便を感じることもあるでしょう。
また、紙幣とは異なり、硬貨に落書きや損傷を加える行為は法律で明確に禁止されており、場合によっては処罰の対象となることがあります。
そのため、少しでも不安がある場合には、銀行などで新しい紙幣に交換しておくことが安心です。
「落書きくらい」と軽く考えてしまいがちですが、お金は多くの人の信頼の上に成り立っています。「誰かの手に渡るもの」として、お金を丁寧に扱う意識を忘れないようにしたいものです。
出典
デジタル庁 e-GOV 法令検索 貨幣損傷等取締法(昭和二十二年法律第百四十八号)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー