ママ友はみんな「月1~2万円」の学資保険に入ってるそうです。うちは「児童手当」を貯金してるだけですが、これでは足りないですか?「200万円」ほど貯まるなら十分でしょうか?
配信日: 2025.05.22

2024年10月より児童手当の支給期間が延長され、これを活用すれば学費を十分まかなえると考える人もいるでしょう。しかし、実際はもう少し蓄えが必要かもしれません。
本記事では、大学進学にかかる費用がいくらになるのか、児童手当でどこまでカバーできてどれだけ足りないのかを考えていきます。
児童手当を全て貯めた場合の総額は?
2024年10月以降、児童手当は高校卒業まで支給されることになりました。具体的には、3歳未満で月1万5000円、3歳以上で月1万円が、18歳の誕生日を迎えた最初の3月31日まで支給されます。なお、第3子以降は月額3万円となりますが、今回は第1子・第2子のケースで考えていきましょう。
この制度のもとで児童手当を全て貯金した場合、貯まる金額はおよそ230万円です。この金額は決して小さくないでしょう。
学費と仕送りを合わせた進学費用の実態
一方、大学進学時にかかる費用はどの程度でしょうか。文部科学省の「令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について」によると、初年度の学費は以下の通りです。
・私立文系:授業料約83万円、入学金約22万円、施設設備費約14万円
・私立理系:授業料約116万円、入学金約23万円、施設設備費約15万円
2年目以降は入学金がかからず、授業料と設備費などは同じ金額を払うものとして算出した4年間の学費は、私立大学文系で約410万円、理系では約547万円となっています。
国公立大学であれば授業料は抑えられますが、誰もが希望通りに進学できるとは限らないため、私立大学を前提に備えておくのが現実的です。
実家を離れ一人暮らしをする場合の生活費も考えていきましょう。全国大学生活協同組合連合会の「第60回学生生活実態調査」によると、仕送りの平均額は月7万2350円で、年間ではおよそ87万円、4年間で約347万円かかる計算となります。
これを学費と合わせると、私立文系で約757万円、理系で約894万円が見込まれ、児童手当だけでは到底届かない金額となるのです。
学資保険で貯めるとどうなる?
児童手当の貯蓄だけでは大学進学費用をまかなえないとすれば、不足分をどう補うかを考える必要があります。
例えば、月1万円の学資保険を18年間積み立てた場合、払込保険料総額は216万円です。仮に返戻率が105%であれば、受取総額は226万8000円となります。児童手当と合わせると450万円を超えるため、実家通学の場合の私立文系の学費は全額、私立理系でも80%以上をまかなえる計算です。
月2万円を同様に18年間積み立てた場合、払込保険料総額は432万円、返礼率105%の場合の受取総額は453万6000円となります。児童手当と合わせた金額は約683万円です。
仕送りを含めた私立文系の進学費用は約757万円、理系では約894万円が見込まれますので、全体をカバーするには足りませんが、それでも十分な備えにはなるでしょう。
また、どうしても足りないときは、奨学金や教育ローンを活用するという選択肢もあります。ただし、貸与型の奨学金や教育ローンは将来的に返済が必要な「借金」である点には注意が必要です。貯蓄や学資保険での積み立てが無理なくできそうであれば、子どもが小さいうちから計画的に準備しておきましょう。
子どもの進路を狭めないためにできること
児童手当という制度が充実しているとはいえ、それだけで進学にかかる費用の全てをまかなうのは難しいのが現実です。だからこそ子どもが小さいうちからの準備が重要で、少しずつでも準備を重ねていけば将来の選択肢は広がります。
学資保険や貯蓄、そして必要に応じて奨学金や教育ローンも視野に入れながら、家庭に合った方法で備えておくことが、子どもの希望をかなえる一歩になるでしょう。
出典
こども家庭庁 児童手当制度のご案内
文部科学省 令和5年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について
全国大学生活協同組合連合会 第60回学生生活実態調査 概要報告
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士