「子どもが小さい頃がお金の貯め時」とよく聞きますが、小中学生の頃、どのくらい貯めておくものなのでしょうか?
配信日: 2025.05.22

そこで本記事では、なぜ小中学生の時期が貯め時とされるのかを解説するとともに、将来必要になる教育費の目安や、現実的な貯蓄方法について紹介します。

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目次
なぜ「子どもが小さい頃が貯め時」といわれるのか
「小さい頃が貯め時」といわれる最大の理由は、教育費がまだ本格的にかかっていないからです。
小学生までは、公立学校であれば年間の学費は比較的安く、文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」によると、公立校に通う子ども1人当たりの1年間にかかる学習費総額の平均は33万6265円(3年間で100万8795円)です。
中学生になると多少増えて年間54万2475円(3年間で162万7425円)です。高校生の場合は59万7752円(3年間で179万3256円)ですが、私立の場合は103万283円(3年間で309万849円)となります。
一方で、大学進学にかかる費用はさらにかかります。文部科学省の「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果」によると、大学4年間に必要な学費は国公立であれば約240万円ですが、私立の場合は文系が平均約408万円、理系では約551万円です。自宅外通学となれば、それに加えて家賃や仕送りも必要になります。
この将来的な負担に備えるには、比較的出費が抑えられている小中学生の時期に、しっかりと貯めておくことが重要なのです。また、児童手当や学資保険などを活用できる時期もこの時期に集中しているため、家計に余裕があるわけではなくても、貯めやすい仕組みがそろっているのも一因です。
小中学生のうちに貯めておきたい教育資金の目安とは?
実際にどのくらい貯めておけばよいのか、というのは多くの保護者が悩むポイントです。目安としてよく挙げられるのが、高校卒業時までに300~500万円程度です。この金額には、以下のような費用を想定しています。
・高校入学時の制服・教材・入学金など初期費用(公立で10~20万円、私立はそれ以上)
・大学受験に向けた塾・予備校・模試代(中3~高3で総額100万円前後かかるケースも)
・大学進学にかかる入学金・初年度納入金(私立で約100万円前後)
もちろん、進学先や通学スタイル(自宅・下宿)によって大きく変わるため一概にはいえませんが、最低でも300万円を目指すことが、多くの家庭での現実的なラインとされています。
この金額を、小中学生の9年間で均等に積み立てるとすれば、月々およそ3万円前後の貯蓄が目安になります。児童手当(月1万5000〜1万円)をすべて貯金に回すだけでも、ある程度の金額になります。
実際にどうやって貯める? 家計の工夫と活用すべき制度
貯めたい気持ちはあっても、日々の家計に追われて貯蓄がなかなか進まないという家庭も多いでしょう。そこで意識したいのが、「先取り貯金」です。
給料が入ったらまず一定額を貯蓄に回し、残ったお金で生活するというやり方です。これにより、余ったら貯めるという不安定な習慣から抜け出せます。また、次のような制度や商品も活用しましょう。
1. 児童手当
中学卒業まで支給される手当(月1万〜1万5000円)です。使わずにそのまま貯めるだけで、約200万円近くになります。
2. 学資保険
計画的に教育費を積み立てる方法です。契約者に万一のことがあっても、保障されるという点で安心です。
3. 新NISA
長期で資産形成を目指すなら、投資信託を利用した方法も一つです。リスクはありますが、インフレ対策としても検討に値します。
また、固定費(スマホ代、サブスク、保険料)の見直しをするだけでも、毎月数千〜1万円程度は貯蓄に回せる余地があるかもしれません。
将来の安心のために、今できることをコツコツと
子どもが小中学生のうちは、比較的教育費の負担が少ない分、貯蓄のペースを作りやすい時期です。「今はまだ先の話」と思っていると、あっという間に高校・大学受験の時期がやってきて、慌てて教育ローンに頼ることにもなりかねません。
将来の安心は、今の一歩から始まります。毎月数千円でも構いません。まずは、「貯める習慣を持つ」ことが大切です。
家計を見直し、児童手当を積み立て、必要であれば学資保険なども活用しながら、コツコツと備えていきましょう。今できる準備を積み重ねることで、子どもの将来の選択肢は確実に広がっていきます。
出典
文部科学省 令和5年度子供の学習費調査の結果を公表します
文部科学省 私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
こども家庭庁 児童手当制度のご案内
金融庁 NISA特設ウェブサイト NISAを知る
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー