孫が生まれました。教育費を援助してあげたいのですが「私立小」～「私立大」まで通わせるのに総額いくらかかりますか？

孫が生まれた瞬間は、本当に特別なものといえるでしょう。「この子のために何かしてあげたい」「できる限りのことをしてあげたい」と思う方もいるのではないでしょうか。なかでも、将来の教育費を支援したいと考える方もいるようです。
 
しかし、実際にどのくらいの費用がかかるのでしょうか。特に私立の学校に通う場合、その金額は思っている以上に大きくなる可能性があるでしょう。
 
本記事では、私立の小学校から大学まで通わせた場合の費用の総額と、その内訳について分かりやすく解説します。あわせて、援助を考える際に知っておきたい制度やポイントもご紹介します。

私立小から大学まで通わせた場合の費用は？

結論からお伝えすると、幼稚園から大学まで一貫して私立に通った場合の費用は、おおよそ400万円～2800万円ほどに達するといわれています（文系・理系や地域によって差があります）。
 
これはあくまで平均的な目安ですが、公立と比べると非常に大きな金額差であるため、事前にしっかり把握しておくことが大切です。
 

教育段階ごとの平均費用（私立の場合）

文部科学省の「子供の学習費調査（令和5年度）」および、日本政策金融公庫の「教育費負担の実態調査（令和5年度）」によると、私立学校に通う場合の年間平均学習費は、教育段階によって大きく異なります。
 
私立幼稚園の年間平均学習費用は34万7338円、小学校では182万8112円、中学校では156万359円、高校では103万283円が必要です。さらに大学進学を考えた場合、私立文系は年間162万円、理系は183万2000円とされています。
 
これらをすべて合計すると、幼稚園3年間で約105万円、小学校6年間で約1100万円、中学校3年間で470万円、高校3年間で310万円、文系大学4年間で650万円となり、総額はおよそ2635万円です。一方で、理系を選んだ場合は大学費用がさらに80万円ほど上乗せされ、合計でおよそ2720万円にのぼります。
 
このように、大学の学部によって最終的な費用差は大きくなります。特に医歯薬系はさらに高額になる傾向があるため、進路に応じた備えが必要です。
 

公立と比較するとどのくらい差がある？

同調査によると、すべて公立に通った場合の教育費総額は、1000万円～1100万円程度とされています。つまり、私立と公立では、教育費にして約1400万円～1800万円の差が生じます。
 
もちろん、「どこまで私立に通うか」「大学での学部は何か」によって費用は前後しますが、祖父母として支援を考える場合、この金額差は見逃せないポイントです。
 

教育費援助には贈与税の非課税制度を活用しよう

お孫さんへの教育費支援には、「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税制度」の利用がおすすめです。この制度では、祖父母などが子や孫に教育資金を一括贈与した場合、最大1500万円まで贈与税がかかりません（一定の条件付き）。

【主なポイント】

●使い道は学校や塾など教育関連機関に限る
●専用口座を金融機関で開設し、そこから支払う必要あり
●30歳までに使い切らなかった分には課税される可能性がある

上記を計画的に利用すれば、将来の大きな支援につながる可能性があるでしょう。ただし、この制度は現時点で令和8年3月31日までと期限がある点に注意が必要です。
 

愛情と一緒に、計画的な支援を

私立の学校に通わせるには、公立と比べて数百万円～1000万円以上多くの教育費が必要です。しかしながら、それは決して無駄ではなく、お孫さんの可能性を広げる大きな投資でもあります。
 
祖父母として支援を考える際には、まず早めに教育費の目安を把握しておくことが大切です。加えて、条件が合えば贈与税がかからない制度などを活用するのも一つの方法です。さらに、家族とよく話し合い、無理のない範囲で援助することが望ましいでしょう。
 
教育資金の援助は、単にお金を渡す行為ではなく、「応援しているよ」という気持ちを伝える手段でもあります。お孫さんの未来の選択肢を広げる、かけがえのない贈り物となるはずです。
 

出典

株式会社日本政策金融公庫　子供1人当たりにかける教育費用（高校入学から大学卒業まで）は減少～令和3年度「教育費負担の実態調査結果」～（6ページ）
文部科学省　令和5年度子供の学習費調査
 
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー