3人兄弟の長男が「大学院」へ進学予定。この場合「多子世帯」ではなくなり、次男からは無償化の“対象外”になりますか? まだ扶養内であれば大丈夫でしょうか?

配信日: 2025.05.20

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3人兄弟の長男が「大学院」へ進学予定。この場合「多子世帯」ではなくなり、次男からは無償化の“対象外”になりますか? まだ扶養内であれば大丈夫でしょうか?
「高等教育の修学支援新制度」が令和7年度から変更され、これまでよりも多くの学生が対象となる予定です。
 
しかし例えば多子世帯への支援は「扶養する子どもが3人以上」という条件があり、多子世帯だからといって必ずしも制度を活用できるかわけではありません。3人きょうだいの場合、長子が大学院生や社会人になると支援を受けられなくなってしまうのでしょうか?
 
そこで本記事では、いわゆる大学無償化制度の変更点とどのような世帯が対象となるのかについて解説していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

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どのような支援を受けられるのか

大学無償化制度は令和2年から開始された支援制度で、「給付型の奨学金」や「授業料等の減免」を受けられます。一定の要件を満たしたと国等が確認した大学・短期大学・専門学校・高等専門学校などが対象です。
 
給付型の奨学金は、「返済が不要の奨学金」で、自宅通学の場合は国公立大学だと最大で年35万円、私立大学だと最大で年46万円を受け取れます。下宿するなどしている場合は国公立大学だと最大で年80万円、私立大学だと最大で年91万円の給付です。
 
また、授業料等の減免によって授業料や入学金の支援を受けることが可能です。授業料と入学金は国公立大学の場合だとそれぞれ最大で年54万円と28万円、私立大学の場合だとそれぞれ最大で年70万円と26万円の支給となります。
 
令和5年度まで、同制度は住民税非課税世帯が主な対象となっていました。しかし令和6年度から対象が拡大され、多子世帯と理工農系に進学する学生も対象となりました。
 
そして、令和7年度からは所得制限が撤廃され、より多くの世帯が対象となります。また授業料等の減免は所得によって給付の金額が異なっていましたが、今回の改正で一律の給付となります。
 
もっとも、注意したいのは今回の改正で「所得制限が廃止」となり、対象が拡大するのは授業料等の減免についてのみです。給付型の奨学金については所得制限があり、世帯年収が600万円までの世帯が対象となります。どちらの支援が受けられるのかを確認するようにしてください。
 

扶養している子どもの人数が重要

大学無償化制度を利用するためには多子世帯であることが要件となっています。そのため、どのような家族構成であれば多子世帯となるのかを知っておくことが重要です。
 
多子世帯は「扶養する子どもが3人以上」の世帯を指します。自治体に納税する際に扶養している人数が扶養人数です。このことから、事例のように長子が大学を卒業した場合は対象にならないように思えますが、大学院に進学するなどして扶養に入ったままだと、「扶養するこどもの人数」が3人以上になるので多子世帯となります。
 
しかし、長子が大学卒業後に就職するなどして扶養から外れた場合は、扶養人数が3人未満となるので対象にならなくなってしまいます。「子どもの人数」ではなく「扶養している子どもの人数」が多子世帯に該当するかどうかの要素になることを覚えておきましょう。
 

大学無償化制度がどのように変わるのかを確認してみましょう

事例のような3人きょうだいの場合では、長子が大学院に進学する際に扶養に入ったままであれば多子世帯に該当するので、第2子以降も支援が受けられます。しかし長子が扶養から外れた場合は対象とならなくなるので注意が必要です。場合によっては国の支援だけでなく、貸与奨学金や教育ローンといった他の手段も考えなければいけなくなります。
 
自身の世帯が多子世帯に該当するのか、給付型の奨学金と授業料等の減免のどちらかもしくはどちらも受けられるのかを確認することが重要です。思い込みや勘違いのないように家族でも確認してみましょう。
 

出典

文部科学省 高等教育の修学支援新制度
文部科学省 令和7年度から、子供3人以上の世帯への大学等の授業料等の無償化を拡充します!
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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