映画に「2000円」払ったけど、30分で飽きてしまった! 料金がもったいなくても、観続けるのは実は“損”? 誰もが陥りがちな「サンクコストの罠」とは
配信日: 2025.05.18

そう思って映画を見続けた経験はありませんか。ほかにも「せっかく払ったんだし」と、興味のないことを継続したり、処分できないものがあったりしないでしょうか。
本記事では、多くの人がこうした「サンクコストの罠」にはまる要因や解決策を紹介します。これを機に「自分にとって得になる選択とは何か」を見直してみましょう。

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サンクコストの罠に陥る理由
「サンクコスト」とは、取り戻すことができない、既に払った費用のことです。将来的には損失になると分かっていても、それまでにかけたお金や時間が惜しくて、投資し続けてしまうことがあります。
なぜそのような罠にはまってしまうのでしょうか。それは「もったいない」という心理が働くからです。「サンクコストの罠」は身近な場面に多く潜んでいます。
【衣服や書籍】収納スペースでずっと眠っていて、もう使わないのに処分できない
【サブスク】特別求めているコンテンツがあるわけではないのに、申し込みにかかった手間を考え「せっかく入会したのにもったいない」と継続加入しておく
【ギャンブル】負けた分を取り返すために「次は当たる」と賭け続ける
【恋愛】パートナーとうまくいっていなくても、交際にかけた時間がもったいなくて別れられない
【食べ放題】支払ったお代の「元を取りたい」と、苦しくても食べ続ける
すでに損していることや、続けても利益の見込みがないことを認めずにいると、合理的な判断をできず、さらにお金や時間を無駄にしてしまう可能性があります。
サンクコストの罠にはまらない考え方
さらなる無駄や損失を生まないためにも、「サンクコストの罠」は回避したいものです。「サンクコストの罠」を回避するには「将来の自分にとって得になる選択は何か」を考えることが大切です。その際、次の3つを心がけましょう。
●「自分は正しい判断をしている」と考えないこと
●客観的かつ批判的な意見を取り入れること
●メタ認知を高めること
それぞれ簡単に解説します。
「自分は正しい判断をしている」と考えないこと
「これまでの努力を無駄にしたくない」と過去の選択に固執すると、視野が狭くなって合理的な判断ができなくなります。「自分の判断は正しかった」と思いこまず、「自分は間違っているかもしれない」と疑う気持ちをもって立ち止まり、冷静な判断を意識することが大切です。
客観的かつ批判的な意見を取り入れること
他人の意見を取り入れると、自分だけではたどり着かなかった正しい選択肢や考え方に気づけることがあります。家族や友人など、信頼できる人に相談してみるだけでも、考えを広げるきっかけとなるでしょう。
メタ認知を高めること
メタ認知、すなわち「自分が今どんな状態なのか」「どんな思考パターンに陥っているのか」を認知し、客観的に思考できるようになると、冷静な判断がしやすくなります。自分の判断や行動を一歩引いた視点から見つめ直すことで、物事の本質を捉えられるようになっていくでしょう。
サンクコスト効果を利用する
「サンクコスト効果」にはマイナスな印象を抱きがちですが、実はポジティブに生かすこともできます。例えば、ジムの月会費1万5000円を払ったら「せっかく高いお金を出したのだから、通わないともったいない」と感じるでしょう。
一方で「やせたいけど、お金を使いたくないから毎日ランニングしよう」と思ったとしても、無料であるがゆえに三日坊主で終わってしまう可能性もあります。
大金を投資することで「もったいない」と思う気持ちが原動力になり、ジム通いを続けられます。その結果「健康的な体をつくる」という目標を達成できるでしょう。このように「サンクコスト効果」を逆手に取ることで、自己成長に繋げられることもあります。
まとめ
「もったいない」という感情は悪いものではありません。節約意識やモノ、時間を大切にする気持ちは大切です。しかし、「サンクコストの罠」にはまり、その感情が「冷静な判断」を奪ってしまうようでは、本来の目的から外れてしまいます。ただ、場合によっては「サンクコスト効果」を自分の得に繋げることも可能です。
自分の未来にとって価値のある選択をして、有意義な時間を過ごしていきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー