春から「新社会人」の娘、都内にある「家賃10万円」のマンションで「一人暮らし」をすると言いだしました。「手取り20万円」で「家賃10万円」は無謀ですよね…？

配信日: 2025.05.19

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一人だけの生活を満喫できることから、一人暮らしに憧れている人も多いでしょう。しかし、家賃は毎月の支出でも大きな割合を占めるといわれ、手取りに見合った金額に抑えないと生活が苦しくなってしまうかもしれません。

今回の事例においても、手取りが「20万円」の新社会人の方が、都内にある「家賃10万円」のマンションでの一人暮らしを検討しているようですが、親御さんが心配されているように、この計画は無謀なのでしょうか。

本記事では、東京23区の単身者向けマンションの家賃と求人初任給の平均額、手取りに対する家賃の目安を解説します。

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 ▼

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1 「東京23区」の単身者向けマンションの家賃は「平均9万9083円」
2 東京都の求人初任給は「平均21万6500円」
3 「手取り20万円」で「10万円の家賃」は無理があるおそれも
4 まとめ

「東京23区」の単身者向けマンションの家賃は「平均9万9083円」

アットホーム株式会社が公表している「2025年3月全国主要都市の『賃貸マンション・アパート』募集家賃動向」によると、東京23区における30平方メートル以下の単身者向けマンションの平均家賃は9万9083円でした。東京都下の5万9819円と比較すると、約4万円も高い家賃です。

今回の事例における「家賃10万円」のマンションは、東京23区内の物件であれば平均的な家賃であると考えられます。

東京都の求人初任給は「平均21万6500円」

厚生労働省東京労働局の「令和6年3月新規学校卒業者の求人初任給調査結果」によると、大卒の求人初任給は平均21万6500円でした。学歴別の平均求人初任給は表1の通りです。

表1

学歴	平均求人初任給	前年比
大学	21万6500円	2.4％
短大	20万2400円	1.2％
専修	20万1000円	1.5％
高校	18万9200円	4.1％

出典：厚生労働省東京労働局「令和6年3月新規学校卒業者の求人初任給調査結果」を基に筆者作成

一般的に、手取り額は額面の75％～85％程度といわれるため、表1より、大卒の新社会人の手取りは約16万2000円～18万4000円と考えられます。

「手取り20万円」で「10万円の家賃」は無理があるおそれも

一般的に、家賃は手取りの3分の1程度が目安といわれており、家賃の割合がそれ以上高くなると生活費を圧迫してしまうおそれがあります。総務省統計局の「家計調査（家計収支編）2024年」を基に、民営借家に住んでいる単身世帯の1ヶ月あたりの主な出費を表2にまとめました。

表2

項目	平均額
食料	4万2015円
住居	5万3135円
光熱・水道	1万1619円
家具・家事用品	4218円
被服及び履物	5221円
保健医療	7751円
交通・通信	2万170円
教育	13円
教養娯楽	2万114円
その他の消費支出	2万3373円
消費支出計	18万7628円

出典：総務省統計局「家計調査（家計収支編）2024年」を基に筆者作成

1ヶ月あたりの住居費以外の消費支出は13万4493円となっており、貯金なども考慮すると実際の支出はさらに多くなる場合もあります。平均的な支出で手取り20万円の場合、家賃に回せる金額は6万円～7万円程度であり、家賃10万円のマンションに住むと家計が破綻する可能性も考えられます。

ただし、あくまでこれらの金額は目安であり、居住エリアや生活スタイルによって手取りに対する家賃の割合は異なります。例えば、趣味や貯金にお金を回したい場合、家賃の目安は手取りの3分の1以下になるでしょう。逆に、生活費を節約すれば手取りの3分の1以上の家賃でも生活できる可能性はあります。

まとめ

東京23区における30平方メートル以下の単身者向けマンションの家賃は平均9万9083円で、東京労働局が調査した大卒の求人初任給は平均21万6500円です。

一般的に家賃は手取りの3分の1程度が目安といわれるため、手取り20万円で家賃10万円のマンションに住むのは生活が苦しくなるおそれがあります。居住エリアや生活スタイルによって家賃の目安は異なりますが、手取り20万円の場合は約6万円～7万円の家賃が適切でしょう。