同僚が「児童手当は全額、自分名義のNISAで運用してる」と発言。子どものお金なのに「親の口座」で積み立てるのは問題ないのですか? お金が減る可能性もあると思いますが“リスク”はないのでしょうか?

配信日: 2025.05.16

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同僚が「児童手当は全額、自分名義のNISAで運用してる」と発言。子どものお金なのに「親の口座」で積み立てるのは問題ないのですか? お金が減る可能性もあると思いますが“リスク”はないのでしょうか?
同僚との何気ない会話の中で「児童手当のお金は全額、自分のNISA口座で運用している」と聞いたらどう思いますか? 「子どものためのお金を親の名義で投資するなんて大丈夫?」という疑問も浮かび、運用することでお金が減ってしまうリスクについても気になるかもしれません。
 
本記事では、児童手当の基本と、NISAで運用する際に知っておきたいポイントについて見ていきましょう。
富澤佳代子

児童手当はどれくらいもらえる?

2024年10月から新制度による児童手当の支給が始まっています。新制度でもらえる金額は、3歳までは月に1万5000円、3歳から高校卒業相当の年代(18歳の誕生日後の最初の3月31日)までは1万円です。なお、新制度では所得制限は廃止され、第3子以降に該当する場合は月に3万円に増額されています。
 
児童手当をもらえる総額は誕生月によって前後するものの、おおむね230万円前後です(第1子、第2子の場合)。児童手当で受け取れる金額は決して小さくないということが分かります。
 

児童手当は誰のもの? 親がNISAで運用しても問題ない?

児童手当という名称から「子どもがもらったお金だから、子ども名義の口座で管理しないといけないのでは?」と感じる人もいるかもしれません。しかし、児童手当は子どもではなく子どもを養う保護者に支給されるものです。用途についても制限はなく、親名義のNISA口座で積み立ててもまったく問題とはなりません。
 
むしろ子ども名義の口座に積み立てた場合、通帳の残高を渡したタイミングで児童手当全額の一括贈与とみなされるリスクがあるくらいです。なお、仮に230万円の一括贈与とみなされてしまうと12万円の贈与税が発生します。
 
また現状、子ども名義で非課税運用する手段がありません。ジュニアNISAは2023年末で新規の買い付けができなくなりましたし、現行のNISAは18歳以上のみが使える制度です。
 
これらを考えると、児童手当を親のNISA口座を使って運用するというのは合理的な選択といえます。
 

学費目的で運用するならリスクにも目を向けて

児童手当で受け取ったお金を運用して増やしたい場合は親のNISA口座を使うことが理にかなっています。しかし、児童手当のお金を学費に使いたいと考えているのであれば、元本割れのリスクのある運用という手段を選んでよいかは疑問が残るところです。
 
確かに3歳までの月1万5000円とそれ以降18歳までの月1万円を年率3%で運用できた場合、元本234万円は約314万円になります。元本より80万円も増えており、決して小さな金額ではありません。
 
一方で、運用には元本割れのリスクが常につきまといます。例えば大学入学の前年にリーマンショックのような大暴落が起きた場合、大きく元本割れした投資商品を現金化しなければならず、資金不足に陥るかもしれません。
 
子どもが中学生・高校生になる頃には徐々にリスク資産の割合を減らしておく、あるいは一定額は預貯金など元本割れしない形で準備しておくなどの対策が必要です。
 

児童手当を保護者名義で運用するのはOKだが、出口戦略も重要

児童手当はあくまで保護者に支給される給付金であり、親のNISA口座で運用することに問題はありません。制度上も子ども名義で非課税運用できる仕組みは現在存在しないため、児童手当を使って運用をしたいと思った場合、親名義の口座で積み立てるのはごく自然な選択肢です。
 
ただし、将来の学費として使うことを考えているなら、相場の影響を受けて大きく目減りするリスクも考えなければいけません。必要な時期が決まっているお金であれば、リスクの取り方には慎重になるべきでしょう。
 
「お金を育てる工夫」と「減らさない工夫」の両方をバランスよく考えることが、児童手当を「将来に役立つお金」として活かすためのポイントといえます。
 

出典

こども家庭庁 児童手当制度のご案内
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
 
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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