日本の人口が減り続けている…「財政」と「社会保障制度」への圧力はどうなる?考えられる「経済的影響」を解説
配信日: 2025.05.15
この記事では、人口減少がもたらす経済的影響について、具体的な数字とともに分かりやすく解説します。

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総人口1億2380万人、14年連続の減少傾向
総務省のデータによると、2024年10月1日時点の日本の総人口は約1億2380万人で、1年間に55万人(-0.44%)の減少となり、14年連続の減少です。特に日本人人口は約1億2029万人で、前年から約89万人(-0.74%)の減少と、減少幅が13年連続で拡大しています。
一方、外国人は約34万人の増加で、3年連続の社会増加となっています。自然増減では出生数が約71万人に対し死亡数が約160万人で、自然減は89万人となり、18年連続の自然減少です。社会増減では、外国人の増加が日本人の減少を上回り、全体として34万人の社会増となっています。
労働力不足と生産性停滞のリスク
内閣府では、人口急減と超高齢化が経済成長に与える影響について、成長会計の視点から分析しており、人口減少によって労働投入が減少することが懸念されています。これは、経済成長率を低下させる大きな要因の一つといえるでしょう。
また、高齢化が進むことで、貯蓄率の低下や投資の減少が懸念され、人口構成の変化により、生産性の向上も停滞する可能性があります。これらの要因が重なることで、経済成長に対する負の影響が増大することが懸念されています。
財政と社会保障制度への圧力
日本では人口減少と高齢化の進行により社会保障費が急増し、財政に大きな負担がかかっています。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構が公表している「日本労働研究雑誌」によると、社会保障給付費は2000年の約78兆円から2020年には132兆円へと約90%も増加しました。この支出増が税収を上回る形で続き、政府債務はGDP比で約200%に達しています。
一方、労働人口の減少によって所得税や社会保険料の納付者は減っており、財源の確保がますます困難になっています。将来的には年金支給開始年齢の引き上げや、保険料負担の増加といった制度改革が不可避です。
また、政府債務が経済成長に与える影響も指摘されており、借金が民間投資を圧迫し、成長を妨げる可能性があります。
今後は、生産性を上げつつ経済を活性化させる取り組みや、社会保障制度の効率化が不可欠です。支出を抑えつつ景気回復によって歳入を増やす、バランスの取れた政策が求められています。
まとめ
人口減少と高齢化が進む中、日本は労働力の確保や生産性の向上、財政の健全化など多くの課題に直面しています。これに対し、政策や制度の見直し、効果的な少子化対策、技術革新などの早急な対策が必要です。
これらの取り組みによって人口減少の課題を乗り越え、持続可能な経済成長が期待されています。
出典
総務省 人口推計(2024年(令和6年)10月1日現在)-全国:年齢(各都市)、男女別人口・都道府県:年齢(5歳階級)、男女別人口 結果の概要
独立行政法人 労働政策研究・研修機構 日本労働研究雑誌 人口減少社会における労働・財政・社会保障と経済成長(5、6ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー