来年、子ども2人が「大学」と「専門学校」へ進学予定です。世帯年収「600万円」ですが、奨学金を利用せずに行かせることは可能ですか?

配信日: 2025.05.12

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来年、子ども2人が「大学」と「専門学校」へ進学予定です。世帯年収「600万円」ですが、奨学金を利用せずに行かせることは可能ですか?
子ども2人が同時に進学する場合、特に大学と専門学校への進学となると、家計への負担が大きくなることが考えられます。国公立か私立か、選択する学科、修業年限などによっても学費は変わってくるでしょう。
 
そこで今回は、世帯年収が600万円という条件で、奨学金を利用せずに進学費用を賄うことが可能かどうか、費用や制度を踏まえて検証しました。
FINANCIAL FIELD編集部

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大学の初年度学費はどのぐらい?

一般的に大学の初年度納入金には、入学金や授業料、施設費などが含まれます。表1は、国公立および私立大学の平均的な初年度費用の目安です。
 
表1

学校種別 入学金 授業料
(年額)
施設費など 合計
(端数処理で合計が
一致しないものあり)
国立大学 28万2000円 53万5800円 なし
(大学によって
必要な場合あり)
81万7800円
公立大学 39万1305円 53万6363円 なし
(大学によって
必要な場合あり)
92万7688円
私立大学(文系) 22万3867円 82万7135円 14万3838円 119万4841円
私立大学(理系) 23万4756円 116万2738円 13万2956円 153万451円
私立大学(医歯系) 107万7425円 286万3713円 88万566円 482万1704円

※参考資料を基に筆者作成
 

専門学校の初年度学費はどのぐらい?

専門学校も、学校や分野によって初年度の学費は異なりますが、目安の金額は表2の通りです。
 
表2

学校種別 入学金 授業料
(年額)
設備費 合計
国立専門学校
(令和6年度、看護系)
17万2000円 30万円 47万2000円
公立専門学校
(令和6年、看護系)
1万1300円 26万5700円 27万7000円
私立専門学校
(昼間部、医療系平均)
約26万9000円 約89万6000円 約14万6000円 約131万1000円
私立専門学校
(昼間部、理容・美容)
11万8000円 55万3000円 21万1000円 88万2000円

※筆者作成
 

学費はいくらかかる?

今回は、子どもが国立大学(4年制)と私立の看護系専門学校(3年制)に行くと仮定し、必要な学費を計算しました。
 

・初年度に必要な費用

国立大学:81万7800円
専門学校:122万円
合計で203万7800円が必要

 

・その後

国立大学:3年間で160万7400円
専門学校:2年間で204万円
合計で364万7400円が必要

 
初年度と合わせた場合、金額は568万5200円となります。なお、実際にはこれら以外にも教材費や研修費、実習費といった費用が必要になる場合もあります。そのため、奨学金を利用しない場合はこれ以上の貯蓄が必要になる可能性があるといえるでしょう。
 

奨学金を利用せずに進学できる?

世帯年収600万円の場合、税引き後の可処分所得は450万円~510万円程度であることが一般的だと考えられます。月収にすると約37万5000円~42万5000円となり、この中から生活費や各種ローン、保険料などを差し引くと、教育費に充てられる金額は限られるでしょう。
 
総務省統計局の「家計調査 家計収支編」(2024年)によると、世帯人員4人世帯における、ひと月あたりの平均支出は34万1400円です。支出が平均的な金額でおさまる場合は、月に約3万3600円~8万3600円の余裕資金が生まれる計算となります。
 
しかし、この金額をすべて教育費に充てられるとは限りません。将来や急にお金が必要になったときに備えて貯蓄にまわす分などを考慮すると、世帯年収が600万円の場合、子ども2人分の進学費用を賄うのは簡単とはいえないでしょう。
 

世帯年収600万円の家庭が奨学金なしで進学するには、早いうちから準備する必要がある

世帯年収600万円の家庭で、奨学金を利用せずに子ども2人を同時に進学させることは可能だと考えられますが、家計への負担が大きくなる可能性があります。
 
家計全体を見直し、固定費の削減などで教育資金を確保することはもちろん、必要に応じて教育ローンなども検討する必要があるでしょう。子どもの将来のための投資という視点を持って、家計の中で教育費を最優先にし、早期からの計画的な貯蓄が大切だといえるでしょう。
 

出典

文部科学省 国公私立大学の授業料等の推移
文部科学省 令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等 平均額(定員1人当たり)の調査結果について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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