「振込先」を間違えてしまいました…。気づいたのは翌日なのですが「返金」してもらえるのでしょうか?
配信日: 2025.05.11
本記事では、ミスが発覚した後の対処方法や誤送金した資金は戻るのかという点について紹介します。

日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。
目次
誤って送金してしまう主な理由とは
まず、どのようなことが原因で間違った送金をしてしまうか見てみましょう。誤送金の主な要因は、以下の3つです。
1. 入力情報の誤り
受取人の口座番号や支店コードなどを間違って記入したことで、別の人にお金を送ってしまうケースがあります。数字や文字などのたった1文字違いでも、重大なミスにつながるのです。
2. 桁数を打ち間違える
振込額の入力時に桁数を誤り、想定以上の額を送ってしまうケースもあります。例えば「10万円」を送りたいのに「100万円」と入力してしまい、気づかないまま送金するケースです。
3. 送金先の選択ミス
ネットバンキングでは、過去の履歴から振込先を選べます。タップミスや確認不足によって違う相手を選んでしまい、気づかずに送金することがあります。
送金先を誤ったら、まずは銀行へ連絡を
うっかり誤った送金先にお金を振り込んでしまったら、利用した銀行へ連絡しましょう。 この際の手続きは「組戻し」と呼ばれ、振り込みの取り消しと資金の返還を銀行にお願いします。 無事に手続きができると、誤送金したお金を取り戻せる可能性があります。
組戻しとは何か?
組戻しとは、本来送るはずだった相手とは異なる口座へ送金した場合や、送金額が異なる場合に行う訂正手続きです。 銀行が振込先の相手に連絡して、同意が得られるとお金を返してもらえます。 ただし、このやり取りを行うことで、銀行ごとに定められた料金(880~1100円程度の手数料)が請求されます。
手続きの流れと必要な情報
誤送金が分かったら、早急に振り込みをした銀行に問い合わせをしましょう。 組戻しを依頼する際には、「振込日」「送金先の支店名・口座番号」「実際に送った金額」などの情報が必要になることが多いため、事前に用意しておくと手続きがスムーズに進みます。
銀行はこれらの情報をもとに、誤送金先の金融機関へ連絡し、資金返還の手続きを開始します。 銀行を介して連絡をとるためすぐにお金が戻るわけではなく、数週間から数ヶ月かかる場合もあります。
すでに入金されていた場合は注意!
振込金がすでに相手に着金している場合は、お金が戻ってくるか否かは相手の承諾にかかっています。 しかし、民法703条では「誤って受け取った利益は返す必要がある」と規定されています。 相手がお金を返すことを拒否しても、法律に基づいて返金を求めることが可能です。
相手の情報が分かっているとき
返金に応じてもらえない場合、相手の氏名や住所が判明していれば、「不当利得返還請求訴訟」を起こせます。 請求額が140万円以下であれば簡易裁判所、それ以上であれば地方裁判所が管轄です。 裁判を進めるには、振込先の詳細情報が必要になります。
相手の情報が不明な場合
返金に応じてもらえず、誤送金先の相手の情報が分からない場合、銀行に問い合わせても、個人情報保護の観点から相手の詳細は開示されません。 その際は「弁護士会照会制度」を利用し、弁護士を通じて相手情報を取得する方法があります。 まずは、専門家に相談しましょう。
相手が勝手に使っていたら?
誤送金された資金がすでに使われていた場合、返金は難しい可能性もあります。 基本的には、受け取った側には返還の責任があります。法律では「利益が残っている限り返還する義務がある」と定められているからです。
例えば、その資金で物を購入していた場合、その物の価値に相当するお金を返す義務は残っています。 しかし、テーマパークのチケットや食事など一時的な消費に使われて利益が現存しない場合は、原則として返還義務はありません。一方、生活費など必要な支出に使った場合は、負担を免れた分として返還義務が認められるケースもあります。
返金されないときは刑事訴訟を検討する
全額戻らない場合は、刑事手続きも視野に入れましょう。誤送金と認識していながらお金を使った場合、「詐欺罪」や「電子計算機使用詐欺罪」「窃盗罪」に該当する可能性があります。 刑事告訴を行うことで返金に応じるケースもありますが、これは罰則を求める申請であり、資金の全額回収が確実になるわけではありません。
振り込みミスを防ぐには?
多くの場合、振り込みミスは人為的な確認不足が原因です。 送金前には、口座番号・支店名・受取人の名義などを丁寧に確認しましょう。 特にインターネットバンキングなどでは入力ミスが起こりやすいため、慎重に操作することが大切です。
間違いを発見したら、まずは銀行へ連絡を
万が一、送金先を間違えても、早めに銀行へ連絡して組戻しの申請をすれば、お金が戻る可能性があります。 しかし、相手方の承諾が得られなければ返金は難しいため、その場合は弁護士に相談して法的な対応を検討しましょう。
出典
デジタル庁 e-GOV 法令検索 民法703条
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー