訪日外国人の数が四半期で初の「1000万人」超え! あまり実感がないのですが、「インバウンド」って本当に経済的な効果があるんでしょうか?
配信日: 2025.05.11

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目次
過去最速で1000万人突破! 2025年1~3月の訪日外国人動向
2025年の第1四半期(1~3月)における訪日外国人旅行者数は、過去最速で1000万人を突破しました。
日本政府観光局(JNTO/正式名称:独立行政法人国際観光振興機構)の推計によれば、3月単月での訪日外客数は約350万人に達し、前年同月比13.5%増を記録しました。
この増加は、桜の季節による訪日需要の高まりや、東南アジアの一部市場および中東地域での断食明け休暇に伴う海外旅行需要の増加が要因とされています。
インバウンド消費額、2024年に8兆円超えで過去最高を記録
訪日外国人旅行者による消費額も大きく伸びています。国土交通省観光庁によると、2024年の訪日外国人旅行消費額は8兆1257億円となり、前年比53.1%増、2019年比68.8%増と過去最高を更新しました。
国・地域別では、中国が1兆7265億円で最も多く、次いで台湾1兆897億円、韓国9602億円、米国9011億円の順となっています。
また、訪日外国人(一般客)1人あたりの旅行支出は22万6851円で、前年比6.6%増、2019年比では43.1%の増加と推計されています。この増加は、円安や物価上昇、滞在期間の長期化が要因とされています。
インバウンド需要がもたらす経済効果と恩恵を受ける業界
インバウンド需要の増加は、日本経済にさまざまな形で貢献しています。
訪日外国人旅行者の消費(インバウンド消費)は、GDP統計において「サービス輸出」として計上され、自動車に次ぐ輸出産業となっています。この結果、地域経済の活性化や雇用機会の増大につながりました。
特に恩恵を受けている業界としては、宿泊業、旅行・レジャー業、旅客輸送業、飲食業、買い物関連企業が挙げられます。例えば、ホテルや旅館は訪日外国人旅行者数の増加により稼働率が高まり、売上や利益の増加につながりました。
また、訪日外国人旅行者が消費する娯楽等サービス費の内訳を見ると、美術館や博物館、テーマパークが高い割合を占めており、レジャー業も恩恵を受けている状況です。
持続可能な観光への取り組み
インバウンド需要の急速な回復に伴い、観光地などに旅行者が集中する「オーバーツーリズム」が課題となっています。
これに対処するため、政府は「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージ」を策定し、過度の混雑やマナー違反への対応、地方部への誘客推進、地域住民と協働した観光振興を柱とした取り組みを進めています。
今後は、訪日外国人旅行者の消費を地方にも広げることで、地域経済の活性化を図るとともに、持続可能な観光の実現を目指すことが重要です。地域の魅力を発信し、多様な観光資源を活用することで、インバウンド需要を全国に分散させる取り組みが求められています。
出典
独立行政法人国際観光振興機構(日本政府観光局/JNTO) 報道発表資料 訪日外客数(2025年3月推計値)(1ページ)
国土交通省観光庁 【インバウンド消費動向調査】2024年暦年の調査結果(確報)の概要(1ページ、3ページ)
国土交通省観光庁 オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた取組 オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー