胃がんの手術のため「入院」することになりました。入院費が「50万円かかる」と言われたのですが、退院時に一括で支払えない場合はどうなりますか?
配信日: 2025.05.08

本記事では、高額療養費制度について詳しくご紹介するとともに、自己負担限度額の計算方法や注意点、医療費負担を軽減するための方法についてもまとめています。

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目次
医療費の負担を軽くする「高額療養費制度」とは?
高額療養費制度とは、1ヶ月(1日から末日まで)の間に医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が決められた自己負担限度額以上になった場合に払い戻しを受けられる制度のことです。自己負担限度額を超えた分が支給されるため、月の負担額をおさえられます。
今回の事例のように「入院費が50万円かかると言われたが、退院時に一括で払えない」というときは、事前に申請して「限度額適用認定証」を準備することで窓口で請求される金額を自己負担限度額までにとどめることが可能です。
現在はマイナ保険証を利用することで限度額適用認定証がなくても限度額までの支払いで済む場合もあるため、確認しておくとよいでしょう。
自己負担限度額の計算方法
高額療養費制度を利用した場合の1ヶ月の自己負担限度額の計算方法は、表1の通りです。
表1
69歳以下の方の上限額 (ひと月・世帯ごと) |
70歳以上の方の上限額 (ひと月・世帯ごと) |
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年収約1160万円~ | 25万2600円+ (医療費-84万2000円)×1% |
25万2600円+ (医療費-84万2000円)×1% |
年収約770万円~約1160万円 | 16万7400円+ (医療費-55万8000円)×1% |
16万7400円+ (医療費-55万8000円)×1% |
年収約370万円~約770万円 | 8万100円+ (医療費-26万7000円)×1% |
8万100円+ (医療費-26万7000円)×1% |
(年収156万円)~約370万円 | 5万7600円 | 5万7600円 (外来は個人ごと1万8000円・年14万4000円) |
住民税非課税世帯 | 3万5400円 | 住民税非課税世帯:2万4600円 (外来は個人ごと8000円) |
住民税非課税世帯(年金収入80万円以下など):1万5000円 (外来は個人ごと8000円) |
出典:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」を基に筆者作成
自己負担限度額は年齢や所得によって変わってくるため、注意しましょう。
医療費負担を軽減するには?
医療費の支払いが自己負担限度額を超えなかった場合は、世帯合算できないか確認してみましょう。
世帯合算とは、自分自身だけでなく同じ世帯にいる他の方が支払った医療費もあわせた金額が1ヶ月単位で自己負担限度額を超えている場合に、高額療養費の支給を受けられることをいいます。ただし、合算の対象になるには同じ医療保険に加入している必要があるため、注意が必要です。
また、高額療養費の支給を受けた回数が過去1年以内で3回以上あった場合、「多数回該当」となり、4回目以降は上限額が下がる仕組みになっています。
このような制度を利用することで医療費の負担をさらに軽減できる可能性があるので、詳しく調べてみるとよいでしょう。
高額療養費制度を利用すれば窓口での支払いを自己負担限度額までにとどめられる場合もある
医療費の支払いが高額になった場合は、高額療養費制度を利用して自己負担限度額を超えた分の払い戻しを受けることが可能です。
マイナ保険証を利用すれば、事前に限度額適用認定証を申請しなくても窓口での支払いを自己負担限度額までにとどめられるため、今回の事例のように「退院時に一括で支払えない」という場合も安心でしょう。
自己負担限度額は年齢や所得によって変わってきますが、同じ世帯にいる家族分の医療費も合算できる制度などを利用することで医療費の負担をさらに軽減できる可能性もあるため、詳しく調べてみるとよいでしょう。
出典
厚生労働省保険局 高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)(4~5ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー