親戚に「生活保護」受給者がいます。扶養するよう、私に連絡が来ることはありますか?
配信日: 2025.05.07

この記事では、扶養照会の仕組みや、実際に扶養が求められるケースについて解説します。

行政書士
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
生活保護の概要と扶養照会の仕組み
まずは生活保護の概要から確認しましょう。生活保護とは、資産や収入が十分でない場合に、国が最低限度の生活を保障する制度です。
とはいえ、生活保護は簡単に受けられるものではなく、しっかりとした調査が行われます。具体的には、「扶養義務者からの支援があるか」を中心に生活保護の必要性が確認され、その一環として自治体から親族に対して扶養照会が行われます。
扶養照会とは、親や子ども、兄弟姉妹など扶養義務者に対して扶養の可否について問い合わせるものです。
ただし、扶養照会が来たとしても扶養は強制ではなく、原則として断ることが可能です。扶養義務者に課せられる扶養義務はあくまでも可能な範囲でのものであり、扶養のために自己犠牲を強いるようなものではありません。
実際に扶養を求められることはあるのか
扶養照会においては、扶養義務者の収入や資産状況などを見られることがあります。その結果、特に高収入で経済的に余裕がある場合などは扶養を求められる可能性が高くなります。ただし、先に述べたとおり、求められるのはあくまでも支援可能な範囲でのものであるため、過度な負担を強いられることや強制されることはほとんどありません。
また、上記は一般的に直系血族に当たる親子の場合であり、直系血族ではない兄弟姉妹や親戚などの場合は、扶養を求められる可能性は低いと考えられます。
扶養照会を受けた場合の対応
扶養照会を受けた場合、扶養が難しければ断っても基本的には問題ありません。断る場合は理由を明確にすることが大切です。例えば、「年収は800万円あり高収入ではあるが、妻子を養っておりそちらで手一杯である」といったものや、「1人暮らしで年収は400万円あるが、ローンも抱えており扶養するほどの余裕はない」などです。
また、支援を決めた場合であっても、生活保護相当額全てを負担する必要はありません。「月に2万円までなら余裕があるから、その範囲で支援する」ということも可能ですし、「金銭的な負担は難しいので、食品や生活雑貨を送る」などの支援でよいこともあります。
いずれにせよ、扶養が強制されることは基本的にありません。焦らず考えて、金銭的にも精神的にも可能な範囲で対応しましょう。
まとめ
親族に生活保護受給者がいる場合、扶養照会が行われることはあります。
しかし、扶養義務は法的に強制されることはなく、また、扶養の内容や範囲についても経済的な余裕や親族との関係性によって異なります。もし、扶養照会を受けたときは、自分の状況と気持ちを正直に伝えてしまっても問題ないでしょう。
どういう回答をするにせよ、その親族に生活保護が必要な場合は支援を受けられるようになっているため、過度に心配する必要はありません。
執筆者:柘植輝
行政書士