「妻の妊娠」はうれしいのですが、「50万円以上」の出産費用は正直厳しいです…。少しでも費用を抑える方法はありますか?
配信日: 2025.05.07


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正常分娩の出産費用は「51万7952円」で増加傾向
正常分娩の出産費用は、どの程度かかるのでしょうか。厚生労働省の資料を基に、令和4年度から令和6年度上半期までの平均出産費用を表1にまとめました。
表1
令和4年度 | 令和5年度 | 令和6年度上半期 (令和6年4月~9月) |
|
---|---|---|---|
入院料 | 11万8326円 | 12万2898円 | 12万5671円 |
分娩料 | 28万2424円 | 29万8898円 | 30万6327円 |
新生児管理保育料 | 5万52円 | 5万1572円 | 5万1887円 |
検査・薬剤料 | 1万4739円 | 1万5738円 | 1万6308円 |
処置・手当料 | 1万6753円 | 1万7433円 | 1万7759円 |
出産費用 (上記5項目の合計) |
48万2294円 | 50万6540円 | 51万7952円 |
出典:厚生労働省保険局「出産費用の状況等について」を基に筆者作成
表1から、令和6年度上半期の出産費用は令和4年度より約3万6000円増加しており、出産費用は増加傾向にあることが分かります。
正常分娩の出産費用が出産育児一時金の支給額を上回っている割合は「45%」
健康保険や国民健康保険の被保険者が出産すると、「出産育児一時金」が支給されます。厚生労働省によると、支給額は令和5年4月より、42万円から50万円まで引き上げられました。しかし、表1から令和6年度上半期の平均出産費用は51万7952円であるため、支給額が50万円になっても出産費用を全額払えるわけではないケースもあるようです。
前述の厚生労働省の資料によると、「令和5年5月請求分以降の正常分娩の出産費用と出産育児一時金の支給額(産科医療補償制度掛金を除く)との差額の状況」は、「出産費用が出産育児一時金の支給額を上回っている」が全国平均で半数近くの45%となっています。また、東京都においてはこの割合が79%にまで達しています。
出産費用の負担を抑える方法
ここではいくつかの給付金・控除とその概要を表2にまとめました。うまく活用して出産費用の負担を減らしましょう。
表2
項目 | 概要 |
---|---|
出産育児一時金 | 健康保険や国民健康保険の被保険者が出産した際に、1児につき50万円が支給される。 |
出産手当金 | 被保険者が出産のために会社を休み、会社から報酬が受けられない際に支給される。出産日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日目~出産日の翌日以後56日目までの範囲内で会社を休んだ期間が対象。 1日あたりの手当金額は(支給開始日以前12ヶ月間の各標準報酬月額の平均額)÷30日×(2/3) |
育児休業等給付 | 子どもの年齢や養育の状況に応じて、要件を満たす場合に、「出生時育児休業給付金」「育児休業給付金」「出生後休業支援給付金」「育児時短就業給付金」が支給される。 |
出産費貸付制度 | 出産にかかる費用が必要である場合に、出産育児一時金が支給されるまでの間、資金を無利子で貸し付けてくれる制度。保険者によって実施の有無などは異なり、貸付金額の上限は出産育児一時金の8割相当額程度。 |
医療費控除 | その年の1月1日から12月31日までの間に自身または自身と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合に、一定の金額の所得控除を受けることができる。妊娠と診断されてからの定期検診や検査、通院費用などが対象となる。 |
※筆者作成
まとめ
健康保険や国民健康保険の被保険者が出産したときは、子ども1人につき50万円の出産育児一時金が支給されます。この一時金により、出産時にかかった費用の大部分を賄える可能性があります。
ただし、出産費用は年々増加傾向にあるため、出産育児一時金の支給額では不十分なことも考えられるでしょう。出産費用の負担を減らすために、利用できる給付金や控除を活用することがおすすめです。
出典
厚生労働省保険局 第186回社会保障審議会医療保険部会 【資料4】 出産費用の状況等について 正常分娩の出産費用の状況(費目別)(2ページ)、令和5年5月請求分以降の正常分娩の出産費用と出産育児一時金の支給額(産科医療補償制度掛金を除く)との差額の状況(11ページ)
厚生労働省 出産育児一時金の支給額・支払方法について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー