病気療養のため「実家」戻ることに…。両親と「住民票」は別なのですが、「高額療養費」の世帯合算はできますか?
配信日: 2025.05.06
「高額療養費制度」を利用したい人の中には、実家を離れて両親と「住民票」を別にしている方もいるかもしれません。本記事では、「住民票」が別でも医療費の合算が可能かどうかを解説します。

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目次
「住民票」と「高額療養費制度」では「世帯」の意味が異なる
厚生労働省によると「世帯とは、住居及び生計を共にする者の集まり又は独立して住居を維持し、若しくは独立して生計を営む単身者をいう。」が「住民票」上における世帯単位とされています。
一方、「高額療養費制度」は上記とは異なり、「同一の医療保険に加入している家族」という意味で「世帯」が使用されています。この制度を使いたい場合は、両者の違いを理解しておくといいでしょう。
親の保険に「扶養加入」した場合は「世帯合算」できる可能性がある
制度にある「世帯合算」は、一回の窓口負担で限度額を超えなかったとしても、複数の受診や同じ世帯に属する家族が受診した医療費を1ヶ月単位で合算できる仕組みです。
1ヶ月にかかった自己負担額は、69歳以下になると「2万1000円以上」が条件となるものの、70歳以上では「自己負担限度額の全額」を合算することができます。
加入先の医療保険が一緒ならば、同居していなくても「世帯合算」をすることができます。例えば、実家で暮らす父親が加入する健康保険に扶養加入すると、「住民票」が別でも合算が可能になります。
勤務先などで家族がそれぞれ別の医療保険に加入している場合は、同居していても「世帯合算」はできないという点を注意しましょう。
親が「後期高齢者医療制度」に加入していると「世帯合算」はできない
75歳を迎えると、「後期高齢者医療制度」へ自動的に加入することになります。
実家の両親、あるいは両親のどちらかが75歳に達して「後期高齢者医療制度」に加入している場合、同居することになっても「世帯合算」は認められないでしょう。
「世帯合算」ができない場合は別々の医療保険で「高額療養費制度」を申請する必要がある
親が「後期高齢者医療制度」に加入していると、「世帯合算」はできません。したがって、別々の医療保険で申請するしかないでしょう。
「高額療養費制度」では、医療費が高額になったときに自己負担の限度額を超えた分の金額が支給されますが、所得や年齢によって限度額の上限が決められています。
また、70歳以上となると外来のみの限度額も定められているのが特徴です。世帯については、69歳以下、70歳以上、69歳以下と70歳以上が混ざっているのかによって「高額療養費」の計算方法は変わります。
そのため、家族の中で複数人が病院を受診した場合は、高額療養費の申請に世帯合算できるかどうかを確認してみましょう。なお、「高額療養費制度」の申請は、診療を受けた月の翌月の1日から2年間有効です。
まとめ
個人では医療費が自己負担限度額に達しなくても、同じ世帯で限度額を超えていれば「世帯合算」を申請して「高額療養費制度」を受けられます。合算できるのは医療保険が同じ場合だけですが、「住民票」が分かれていても問題ないでしょう。
自己負担限度額は、年齢や所得で定められている上限が異なるため注意が必要です。親が加入する医療保険に扶養加入したいと考えているなら、家族が「後期高齢者医療制度」に加入しているかどうかを確認しましょう。
出典
厚生労働省 用語の説明
厚生労働省 保険局 高額療養費制度を利用される皆さまへ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー