子どもの風邪が悪化して肺炎になってしまい入院…。子どもの「医療費が無料」の地域でも、民間保険の保険金を受け取れる?
配信日: 2025.05.06

では、子どもが病気やケガで入院・手術をした際、医療費が無料だとしても、民間保険の保険金は支払われるのでしょうか? 解説します。

FPオフィス And Asset 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP、2019年FP協会広報スタッフ
保険代理店勤務を経て独立。資産運用と保険に強いファイナンシャル・プランナーとして、子育て世代向けに相談やセミナーを行っている。全国どこからでも受講可能なオンラインセミナーを毎月開催。自宅で学べる手軽さと講座内容のわかりやすさが好評。子どもが寝てからでも参加できるよう、セミナーや相談は夜も行っている。
保険金は支払事由に該当すれば支払われる
結論からいうと、保険金支払事由に該当していれば、医療費が無料でも保険金は支払われます。
たとえば、入院給付金が日額5000円、日帰り入院から保障される保険に加入していて3日入院した場合、医療費の自己負担がたとえゼロ円でも、入院給付金は1万5000円が支払われます。
これは、「医療保険の保険金支払いは『医療費の実費』がいくらだったか」は関係なく、入院や手術という保険金支払事由に該当すれば行われるためです。
子どもの医療保険に加入しているけれど、医療費負担はゼロだったから保険金請求しなかった経験がある人は、今からでも請求できるか契約内容等確認してみましょう。
保険金請求期限はありますが、期限内なら過去にさかのぼって請求可能です。
子どもの医療費の仕組みについて
子どもの医療費は、無料や一部自己負担という人は多いのではないでしょうか。しかし本来、健康保険制度では、子どもの医療費は3割負担(義務教育就学前は2割負担)です。
医療費が無料、あるいは数百円程度に抑えられているのは、都道府県や市区町村で子どもの医療費助成を行っているためです。医療費助成の内容については自治体によってさまざまですが、18歳まで助成を行っている自治体が多いようです。
ちなみに、市区町村のうち、手厚い援助をしているところは、筆者が調べたところ、愛知県東海市、北海道南富良野町、千葉県多古町でした。それぞれの助成内容は以下の表1のとおりです。ここまで手厚い助成があるのはうらやましいですね。
【表1】
子どもに保険は必要?
ところで、これだけの医療費助成があるなら、そもそも医療保険は必要なのでしょうか?
たしかに、子どもが入院したり、長期的な治療が必要になったりした場合、親の仕事の調整や付き添い、交通費、差額ベッド代など「医療費以外」の負担がかかる場面も出てきます。
とくに付き添い入院が必要になると、個室の利用あるいは付き添い用のベッド代、親の食事代等もかかり、仕事の調整も必要になるでしょう。
したがって、子どもに持病があるなど、子どもの医療費以外の支出が多額になる可能性が高いなら保険で備えておくと安心です。持病があっても加入できる保険や共済を調べると良いでしょう。
しかし、そのようなリスクが低いなら、一時的な支出は貯蓄から出すのが基本です。そのために、常に緊急予備資金を準備しておく必要があります。
医療費が無料であっても保険金を受け取れることはありますが、保険に加入すると当然保険料のコストがかかります。子ども保険の加入については、お住まいの地域の医療費助成の内容や子どもの健康状態、自分の仕事への影響など総合的に考えて医療保険の必要性を考えましょう。
出典
こども家庭庁 令和4年度・5年度「こどもに係る医療費の援助についての調査」
執筆者:前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士