高校の「完全無償化」が決まったら3年間の出費はいくらで済む?
配信日: 2025.05.06

本記事では、高校の完全無償化が決まった場合、3年間の出費がどれくらいになるか解説します。

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高校の完全無償化とは
高校の完全無償化とは「高等学校等就学支援制度」のことで、授業料の支援金が給付される制度です。国公私問わず、要件を満たす世帯の生徒が対象となります。家庭の経済状況によって教育を受けられない高校生等が出ないよう、家庭の教育費負担を軽減させることが目的です。
2025年3月以前の高等学校等就学支援制度は、日本国内に在住し、年収910万円未満の世帯が対象です。公立高校の場合の支給上限額は11万8800円で、私立高校の場合は年収590万円未満であれば39万6000円、年収590~910万円未満であれば11万8800円が上限額です。
では、「完全無償化」が決定した場合を見ていきましょう。2025年4月以降は、公立高校の授業料が実質無償化され、所得制限が撤廃されます。さらに2026年4月以降は、私立高校の上限額が撤廃され、45万7000円に引き上げられる見通しです。 45万7000円は私立高校の全国平均の授業料となっており、家庭の負担がさらに減るといえるでしょう。
高校無償化で3年間の出費はどうなるか
高校の完全無償化となった場合、3年間の出費はどれくらいになるでしょうか。高校の完全無償化で給付されるのは授業料のみであるため、それ以外の出費についても目を向ける必要があります。
本章では、高校の完全無償化となった場合、3年間でどれくらいの出費になるかについて公立私立別に解説します。
公立の場合
公立高校の授業料は、年11万8000円です。給付される額は所得に関係なく年11万8000円であるため、3年間の授業料は無料となります。
しかし、公立高校に入学する際に必要な費用は授業料だけではありません。授業料のほかに支払う費用として以下のものがあります。以下で、都立高校の例を見ていきましょう。
・入学金……5650円
・制服代……数万円
・上履きや体操着……2万円程度
・教科書など……2万円程度
・積立金やPTA会費など……毎年数万円程度
学校によって必要な費用は違うため、入学する学校で費用がどれくらい必要かは事前に確認しましょう。
私立の場合
私立高校に通う生徒への支給額上限は、年39万6000円です。しかし、学校によって授業料は違うため、これよりも授業料が上回った場合は不足分を負担しなくてはなりません。
例えば、都内私立高校の授業料が平均額の年48万9343円 (東京都「令和6年度 東京都内私立高等学校(全日制)の学費の状況について」より)とした場合、上限額まで支給されたとしても、年9万3343円、3年間で28万29円の授業料を負担します。
完全無償化となって私立高校の支給額上限が45万7000円となった場合、負担額は年3万2343円、3年間で9万7029円となります。学校によっては授業料をゼロにできないケースもあるものの、負担は大幅に減らせるでしょう。
また、授業料以外にも負担しなくてはならない費用もあります。東京都の同資料より、授業料以外に必要な平均費用を見ていきましょう。
・入学金……25万4131円
・施設費……3万4956円
・その他……19万2598円
入学金と施設費は入学時に一括納付する費用で、その他は毎年納付する費用です。この費用以外にも、制服や教科書などを購入しなくてはなりません。
授業料以外の負担額も気にしておこう
高校が完全無償化となった場合でも、学校によっては授業料が完全になくなるとはかぎりません。しかし支給額が増えることで、負担が減るでしょう。
高校では、授業料以外にもさまざまな費用が必要となります。入学金や制服代以外にも、積立金なども毎年納めなくてはなりません。各家庭で、授業料以外にいくら必要になるか確認するとよいでしょう。
出典
文部科学省 高校生等への修学支援
東京都 所得制限なく私立高校等の授業料支援が受けられます
文部科学省 高等学校等就学支援金制度
東京都 令和6年度 東京都内私立高等学校(全日制)の学費の状況について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー