夫「年収400万円」+妻「年収350万円」で、6月に出産予定! 2025年4月からの新制度で「育休手当」が一定期間増えるって本当? 家計への影響はどうなるのでしょうか?

配信日: 2025.05.01

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夫「年収400万円」+妻「年収350万円」で、6月に出産予定! 2025年4月からの新制度で「育休手当」が一定期間増えるって本当? 家計への影響はどうなるのでしょうか?
初めての出産を控え、「産休・育休中の収入はどのくらい減るの?」「家計に影響は?」と不安を感じる人もいるでしょう。
 
産休・育休中は給与の支払いがなくなりますが、「出産手当金」や「育児休業給付金」を活用することで一定の収入を確保できます。
 
さらに、2025年4月からは新たに「出生後休業支援給付金」などの制度がスタートし、一定期間ではあるものの産休・育休前とほぼ変わらない手当が支給される仕組みになりました。
 
本記事では、夫の年収400万円・妻の年収350万円の夫婦が6月に出産するケースを例に、産休・育休中の手当と新制度について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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産休中は給料の約3分の2の「出産手当金」が支給される

会社員や公務員として働いている女性は、出産に伴い「産前産後休業(産休)」を取得できます。産休の期間は、出産予定日の42日前から出産後56日までの計98日間です。この間、会社から給与は支払われませんが、健康保険から「出産手当金」が支給されます。
 
1日あたりの支給額は、支給開始日の以前12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額÷30日の3分の2相当です。
 
年収350万円の場合、ボーナスを考慮せずに12ヶ月で割ると標準報酬月額は約29万1600円ですから、出産手当金は1日当たり約6480円、98日間で約63万5040円となります。98日間をおよそ3ヶ月とすると、1ヶ月の支給額は約21万1680円です。

350万円÷12ヶ月=約29万1600円
約29万1600円÷30日×2/3=約6480円(1日あたりの出産手当金の支給額)
約6480円×98日=約63万5040円(98日間で支給される出産手当金の総額)
約63万5040円÷3ヶ月=約21万1680円(1ヶ月あたりの出産手当金の支給額)

 

育休中の手当は給料の67%~50%。開始後7ヶ月目から減額に

産休期間終了後からは「育児休業(育休)」に移行します。育休は原則として子どもが1歳(最長2歳まで)になるまでの期間取得できます。
 
育休中も会社からは給与の支払いがありませんが、雇用保険から「育児休業給付金」 が支給されます。支給額は育休開始から180日目(6ヶ月目)までは休業開始時賃金日額の67%、181日目(7ヶ月目)以降は50%となります。
 
休業開始時賃金日額は、同一の子どもに対する産休または最初の育休の開始前直近6ヶ月間に支払われた賃金(臨時や3ヶ月超ごとの賃金を除く)の合計を180日で割った額です。
 
妻の年収は350万円ですので、ボーナスを考慮せずに12ヶ月で割ると標準報酬月額は約29万1600円。その6ヶ月分を180日で割ると、約9700円になります。
 
妻が育休を1年間取得した場合、最初の180日間(6ヶ月間)の支給月額は約19万4900円、181日目以降の支給月額は約14万5500円となります。

350万円÷12ヶ月=約29万1600円
約29万1600円×6ヶ月÷180日=約9700円(休業開始時賃金日額)
 
●育休開始から180日間の支給月額
約9700円×67%×30日=約19万4900円
 
●育休開始後181日目以降の支給月額
約9700円×50%×30日=約14万5500円

 

夫の育休期間は妻と異なるが、手当の支給率は同じ

妻は産後56日間の産休のあとで育休を取得しますが、夫の場合は子どもの出生(予定)日から取得できます。
 
夫も、妻と同様に原則として子どもが1歳(一定の要件を満たす場合は1歳6ヶ月または2歳)になるまでの間で取得し、育児休業給付金を受給できます。支給額は妻と同様に育休開始から180日目(6ヶ月目)までは休業開始時賃金日額の67%、181日目(7ヶ月目)以降は50%となります。
 
夫の場合は、通常の育休とは別に、出生(予定)日から8週間以内の期間に最長28日間取得できる「出生時育児休業(産後パパ育休)」があり、この間の支給額は休業開始時賃金日額の67%です。
 
つまり、産後パパ育休を取得したのちに引き続き育休を取得した場合は、産後パパ育休期間の4週間+育休開始から180日目(6ヶ月)まで、休業開始時賃金日額の67%を受け取ることができます。
 
今回、夫の年収が400万円とのことですので、ボーナスを考慮せずに12ヶ月で割ると月額報酬は約33万3300円、休業開始時賃金日額は約1万1100円です。産後パパ育休と育休開始から6ヶ月目までの支給額は月額約22万3100円、育休開始から7ヶ月目以降は月額約16万6500円となります。

400万円÷12ヶ月=約33万3300円
約33万3300円×6ヶ月÷180日=約1万1100円(休業開始時賃金日額)
 
●育休開始から180日間の支給月額
約1万1100円×67%×30日=約22万3100円
●育休開始後181日目以降の支給月額
約1万1100円×50%×30日=約16万6500円

 

2025年4月からの新制度で、夫婦ともに育休手当が一定期間増える!

ここまで従来の育休手当について説明しましたが、2025年4月から新たに「出生後休業支援給付金」が創設されました。
 
出生後休業支援給付金は、共働きの夫婦がともに育休を取得した場合に限り、通常の育児休業給付に上乗せして支給されます。支給額は休業開始時賃金日額の13%相当額です。これにより、育児休業給付金(67%)と合わせて、休業前賃金の80%(67%+13%)が支給されることになります。
 
ただし、受給には夫婦ともに通算して14日以上の育休を取得していることや、夫が「子どもの出生(予定)日から8週間を経過する日の翌日まで」の期間に産後パパ育休もしくは育休を取得していることなどの条件があります。また、支給期間は最大28日間となります。
 
この制度を活用すれば、夫婦とも育休中の最初の28日間(1ヶ月)は平均報酬月額の80%相当を受け取ることが可能です。今回のケースでいえば、妻は約23万2800円、夫は約26万6400円を受給できます。
 

まとめ

出産時は、出産手当金や育児休業給付金、さらに6月出産とすると2025年4月から始まった新制度「出生後休業支援給付金」を利用できるので、一定期間は給与の7~8割相当の収入を確保することが可能です。
 
年収400万円の夫、年収350万円の妻のケースでは、新制度の条件を満たせば妻の産休・育休中も月約14万5500円~23万2800円の手当があります。夫が育休を取った場合も約16万6500円~約26万6400円、最初の半年は月22万円程度の収入が見込めます。
 
ただし、支給はあとからになりますし、育休が長期化すると支給率が下がり、家計への影響も無視できません。制度を理解して家計と向き合い、無理のない範囲で育休の取り方を考えることが大切です。お互いの働き方や収入のバランスを考えながら、夫婦で協力する体制を作れるといいですね。
 

出典

全国健康保険協会 出産で会社を休んだとき
厚生労働省 育児休業制度 特設サイト 育児休業制度を活用しましょう!
厚生労働省 育児休業等給付の内容と支給申請手続(令和7年1月1日改訂版)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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