糖尿病で総合病院に通院中。けがをしたのでついでに診てもらいたいと言ったら「再診料3300円かかります」と言われた…… なぜ!?

配信日: 2025.04.29

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持病などがあり総合病院に通院中の方で、別の病気やけがを負ってしまったということもあるでしょう。「通院しているのだからついでに診てもらいたい」と言うと、思いがけない金額の再診料が! その理由をFPが解説します。
田久保誠

田久保誠行政書士事務所代表

特定行政書士、CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員

行政書士相談センターの相談員として、相続等の相談業務や会社設立、許認可申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。

なぜ再診料が請求されたのか

今回の事例である、「再診料」について確認しましょう。
 
現在一部の大病院(総合病院)に外来患者が集中し、患者の待ち時間や勤務医の外来負担による長時間労働等の問題が出ており課題が生じているため、一定規模以上の病院に“紹介状を持たず”に外来受診した患者等から、一部負担金(3割負担等)とは別に、「特別の料金」を徴収しています。
 
2022年10月1日以降はその「特別な料金」を徴収する対象医療機関が拡大され、その金額が増額(初診:5500円→7700円、再診:2750円→3300円いずれも税込み)されましたので、その影響で今回再診料を請求されたものと思われます。
 

「特別の料金」の対象となる病院とは

「特別の料金」との対象となる病院とは、以下の3種類です。

1. 特定機能病院
2. 一般病床200床以上の地域医療支援病院
3. 一般病床200床以上の紹介受診重点医療機関

「特定機能病院」とは、高度の医療の提供、高度の医療技術の開発および高度の医療に関する研修を実施する能力等を備えた病院で、大学病院等のことをいいます。
 
「地域医療支援病院」とは、救急医療や紹介患者に対する医療の提供等を行い、「かかりつけ医」等への支援を通じ地域医療の確保を図る病院です。
 
「紹介受診重点医療機関」とは、医療法に基づき令和4年度から行われる外来機能報告を踏まえ、「地域の協議の場」において協議を行い、紹介患者に対し外来を基本とする医療機関として都道府県が公表した病院です。
 
上記以外の「⼀般病床数が200床以上」の病院は、「⼤病院を受診する際の特別の料⾦」を請求するかどうかについては、従来どおり各病院の任意となります。⼀般病床数が200床未満の病院やクリニック(診療所)については、この特別の料⾦を請求しません。
 

「特別の料金」の対象となる患者・その料金とは?

対象となる患者は、

■初診……他の医療機関からの紹介状なしで受診する患者
■再診……病院から、他の医療機関への紹介状を出されたにもかかわらず、当院を受診する患者。ただし、救急の患者等や一定の条件を満たした場合は徴収の対象外

次に、料金は以下のとおりです。消費税込みで、

■初診……医科・歯科共通:7700円
■再診……医科・歯科共通:3300円(今回はこれが3300円の根拠です)

支払いのイメージは図表1のような形になります。
 
図表1
図表1
(出典:厚生労働省リーフレット「医療機関の機能・役割に応じた適切な受診を行うようお願いします。」)  
 

まず、できることは?

今回のようなことが起きないようにするためには、まずはご自身がお住まいの地域の医療機関(クリニック)を受診する(かかりつけ医を持つ)ことです。かかりつけ医は、あなたの体の状態を把握し、体調の変化や日常の健康管理などを相談できる身近な主治医です。
 
かかりつけ医は、地域医療の中核を担う病院や特定機能病院などと連携しています。検査や高度な医療が必要になったときには、かかりつけ医の判断で適切な医療機関に紹介してくれます。かかりつけ医からの紹介を受けて病院を受診する場合は、特別の料金もかかりません。
 
そうすることによってあなたの家計も、国の負担も、病院(医師)の負担も減り、よりよい医療環境を得ることができるでしょう。
 

出典

厚生労働省 紹介状を持たずに特定の病院を受診する場合等の「特別の料金」の見直しについて
厚生労働省 医療機関の機能・役割に応じた適切な受診を行うようお願いします。
内閣府 政府広報オンライン 紹介状なしで大病院を受診すると特別の料金がかかります。診療所や病院を適切に使い分けましょう。
 
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表

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