5月に育休を取る友人は、初めの1ヶ月は「手取りの10割」もらえるとのこと。同時期に取得する私は「手取りより少ない」けど、なにが違うのでしょうか?
配信日: 2025.04.29

しかし、全ての育休取得者が無条件で「10割」の手当を受け取れるわけではありません。本記事では、出生後休業支援給付金の仕組みや、手取り額の10割になる条件について解説します。

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「出生後休業支援給付金」とは?
「出生後休業支援給付金」は、2025年4月1日以降に開始された新しい給付制度です。この制度の目的は、夫婦がともに育休を取得しやすくすることにあります。
これまでの育児休業給付金では、基本的に休業前の賃金の67%(6ヶ月以降は50%)が支給される仕組みでした。しかし、新たな給付金制度では、一定の条件を満たせば1ヶ月間においては実質手取り額の100%(10割)になるのです。
「実質10割」とは?
「実質10割になる」と言っても、実際に給与が満額支給されるわけではありません。そもそも、休職前の給与については、税金や社会保険料が控除され、額面の80%程度が手取り額とされています。
一方、休業前賃金に対し、育児休業給付金は67%、出生後休業支援給付金は13%が支給され、合わせて80%が支給されます。そして、これらの給付金に対しては税金や社会保険料はかかりません。
そのため、手取りベースでいうと休職前と同じ賃金分がもらえるため、「実質10割」という表現がされるのです。
手取り額の「10割」になる条件
「出生後休業支援給付金」により、休職中も1ヶ月間は手取りの10割が支給されますが、本記事のように、人によっては要件を満たさず、「出生後休業支援給付金」が支給されない場合もあります。「出生後休業支援給付金」を受け取る条件は次のとおりです。
・両親がそれぞれ14日以上の育休を取得する
・出生後8週間以内に育休を取得する
・配偶者が自営業者やフリーランスではない
この条件を満たす場合、通常の育児休業給付金に加えて「出生後休業支援給付金」が支給されるため、実質的に休業前賃金の手取り額の10割になります。
友人との違いはどこにある?
友人が「手取りの10割」の手当を受け取れるのに、自分が受け取れない見込みである理由として、以下のような可能性が考えられます。
夫婦で14日以上の育休を取得していない
夫婦のどちらか一方しか育休を取らない場合、または夫婦で育休を取得するものの取得日数が14日未満の場合は、「出生後休業支援給付金」は支給されません。そのため、通常の育児休業給付金(賃金の67%)のみが支給され、手取り額の10割よりも少ないことになります。
育休開始時期が異なる
「出生後休業支援給付金」は、出生後8週間以内に育休を取得することが条件です。育休を開始する時期が遅れてしまうと、この給付金の対象外になる可能性があります。
雇用保険の加入状況が異なる
「出生後休業支援給付金」は雇用保険から支給されるため、フリーランスや自営業の人は対象外となります。
まとめ
2025年4月1日から開始される「出生後休業支援給付金」により、育休開始後1ヶ月間は給与の手取り額の10割を受け取ることが可能になります。
しかし、そのためには 夫婦で14日以上育休を取得することなどが条件です。条件を満たしていないと、「友人は10割もらっているのに私はもらっていない」ということになりかねません。
育休の計画を立てる際は、この制度の条件を確認しながら進めることが大切です。夫婦でしっかり話し合い、制度を最大限に活用できるようにしましょう。
出典
厚生労働省 育児休業等給付について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー