「ジェネリック医薬品」を断ったら「処方料が高くなる」と言われました。以前は「先発医薬品」を希望しても同額だったのですが、制度が変わったのでしょうか…?
配信日: 2025.04.26
しかし、令和6年10月より、一部のケースを除き先発医薬品を選択することで別途費用を負担しなければならない仕組みに改正されました。なぜその仕組みが始まったのか、またこの仕組みによってこれまでよりもどの程度金額が高くなるのかを、当記事で解説します。

日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。
令和6年10月より後発医薬品のある先発医薬品は「選定療養」に
選定医療とは、医療行為や医薬品など直接治療にかかわらないものの、医療機関に受診をしたり入院をしたりする際に追加の費用がかかる制度のことを指します。
具体的には、「紹介状なしで総合病院を受診する」場合や「入院時に差額で支払うベッド代」などが該当します。今回、選定医療費として後発医薬品のある先発医薬品を処方する際に「特別の料金」として徴収されることになったと考えられます。
なぜこれまで徴収されなかったにもかかわらず、今回このような仕組みに変更されたのかというと、健康保険料や医療費にかかる負担を公平にし、費用の増大を抑えるためです。また、長期的に「国民皆保険」の制度を守るため、より医療費の安さが期待できる後発医薬品への切り替えを推進する目的があります。
「特別の料金」は後発医薬品との価格差の「4分の1相当」の料金になる
では、先発医薬品の処方に選定療養費が加わると、具体的にどの程度価格差が生まれるのでしょうか。厚生労働省が発表している内容によると、「特別の料金」は先発医薬品と後発医薬品の価格差の4分の1相当の料金としています。
例えば、先発医薬品の価格が1錠100円、後発医薬品の価格が1錠60円の場合、差額40円の4分の1である10円を、通常の1〜3割の患者負担とは別に特別の料金として支払われる計算になります。また、選定医療費は課税対象となるため、今回の「特別の料金」には消費税がかかることに留意しましょう。
「特別の料金」が徴収されないケースもある
ただし、先発医薬品を選択したすべての人が「特別の料金」を支払わなければならないわけではなく、「医療上の必要性がある場合」と判断されたケースは除外される可能性があります。
厚生労働省では、「医療上の必要があると認められるのは、どのような場合ですか。」という質問に対し、以下のケースをあげています。
●長期収載品と後発医薬品で薬事上承認された効能・効果に差異がある場合であって、その患者の疾病の治療のために必要な場合
●その患者が後発医薬品を使用した際に、副作用があったり、先発医薬品との間で治療効果に差異があったと判断する場合であって、安全性の観点等から必要な場合
●学会が作成しているガイドラインにおいて、長期収載品を使用している患者について後発医薬品へ切り替えないことが推奨されている場合
●後発医薬品の剤形では飲みにくい、吸湿性により一包化できないなどの場合(単に剤形の好みという理由では認められません。この場合の判断は薬剤師が行うこともできます)
このほか、後発医薬品を希望したにもかかわらず流通の都合上在庫が不足しており、先発医薬品のみ取り扱いがある場合にも特別の料金は徴収されないようです。
まとめ
「特別の料金」は、医療費の増大を抑えるためと、積極的に後発医薬品(ジェネリック医薬品)への切り替えを推進する目的で実施されます。先発医薬品を選択しなければならない場合は例外として支払いはありませんが、薬が処方される際に少しでも費用を抑えたい場合は、後発医薬品を選択するといいかもしれません。
出典
厚生労働省
令和6年10月からの医薬品の自己負担の新たな仕組み~長期収載品の選定療養について~
後発医療品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー