2025年は低所得者向けに「3万円の給付金」があると聞きました。わが家も家計が厳しいけど、なぜ「中間層」には給付が行われないの? 理由を解説
配信日: 2025.04.26

ただ、全世帯が給付金を受給できるわけではなく、受給するには一定の条件を満たす必要があります。
本記事では2025年に給付される「物価高騰対策支援給付金」の受給要件や、要件が定められている理由について解説します。

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2025年の「物価高騰対策支援給付金」とは
物価高騰対策支援給付金は、物価高騰に対する負担感が大きな低所得世帯の負担軽減を目的に支給される給付金のことです。
政府は2024年11月、事業規模が39兆円程度の新しい経済対策を決定しました。そのなかで、3つの柱である「賃上げ環境の整備などを通じた日本経済・地方経済の成長」「物価高への対応」「国民の安心・安全を確保」を実現するための具体的な事業の1つとして、住民税の非課税世帯を対象とした給付金の支給が盛り込まれました。
給付対象の世帯とは?
今回の給付金の対象になる世帯は、自治体によって要件が異なります。例えば、品川区であれば、令和6年12月13日時点で品川区に住民登録があり、「世帯全員が令和6年度の住民税が非課税の世帯」か、「均等割のみ課税となる世帯」です。
ただし、自治体によって「均等割のみ課税となる世帯」は含まないなど違いがあるため、詳細は自身が住む市区町村に確認しましょう。
給付額は家族構成によって異なる
今回の給付金の支給金額は、1世帯あたり3万円です。加えて、同世帯にいる子ども1人あたり2万円が加算されます。大人2人と子ども1人の世帯なら5万円、大人2人と子ども2人の世帯なら7万円が支給される計算です。
なぜ中間層に給付は行われないの?
今回に限らず、ここ数年の国からの給付金は、住民税非課税の世帯が対象になることが多いです。
物価上昇によって毎月の生活費が家計を圧迫しているのは中間層も同じですが、なぜ住民税非課税世帯のみが給付対象になっているのでしょうか?
住民税非課税世帯に給付金が支給されるのは、物価の高騰による影響が大きいためです。例えば、物価高騰によって生活費が月1万円増えた場合、月の手取り25万円の家庭では4%の負担増ですが、月の手取り10万円の家庭では月の負担増が10%にもなります。
今回は特に、住民税非課税世帯が多い年金受給世帯が物価高騰によって受ける影響について考えてみましょう。
厚生労働省の「令和5年国民生活基礎調査」によれば、65歳以上の高齢者世帯の3分の1以上が住民税非課税世帯です。つまり、年金を受給できる世帯のうち一定程度が住民税非課税世帯といえます。
そして、年金世帯は無職であることも多いでしょう。総務省の「家計調査」によると、2024年の勤労世帯の月収(実収入)が約54万3000円(年収約650万円)に対し、無職世帯は月収(実収入)が約20万3000円(年収約240万円)となっています。
勤労世帯は賃上げによって物価の伸びについていくことがある程度は可能ですが、無職のことも多い年金受給世帯は、収入が少ないうえ、物価の伸びについていくことが難しいのが実情です。
例えば、2025年度の公的年金支給額は前年度比1.9%引き上げられていますが、前年の物価上昇の伸び2.7%と比べると、実質的には受給額は目減りしています。そのため、物価高騰によって年金のやりくりが難しくなる可能性もあります。
上記のような理由が、物価高騰の影響を受けやすい住民税非課税世帯に限って支援を行う理由の1つです。
まとめ
物価高騰によって苦しいのはどの世帯も同じですが、今回の「物価高騰対策支援給付金」に関しては住民税非課税の世帯が対象です。ただ、今後も物価上昇が続けば、今回給付金を受け取れなかった世帯にも支援が入る可能性もあります。
今後の政府の動向について、ニュースでよくチェックしていきましょう。
出典
厚生労働省 令和5年国民生活基礎調査 所得
総務省統計局 家計調査 家計収支編 総世帯 詳細結果表 2024年
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー