初任給が「18万円」で、奨学金を返還できるのか不安です。返還できない場合、保証人である「親」に請求がいくのでしょうか?

配信日: 2025.04.25

この記事は約 4 分で読めます。
初任給が「18万円」で、奨学金を返還できるのか不安です。返還できない場合、保証人である「親」に請求がいくのでしょうか?
多くの学生が利用する奨学金は、卒業後の返還負担が大きな問題となっています。初任給が18万円程度の場合、生活費や税金などを差し引いた手取り額では、奨学金返還に充てる余裕資金が少ないことが懸念され、返還が滞る可能性があります。
 
今回は、奨学金を返還できなかった場合はどうなるのか、連帯保証人である親に返還を求めるケースについてまとめました。
FINANCIAL FIELD編集部

日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。

奨学金の保証人や連帯保証人とは?

奨学金には返還義務のない「給付型」と、返還が必要な「貸与型」の2種類があり、貸与型の場合、連帯保証人および保証人を用意しなければなりません(人的保証)。
 
連帯保証人は父母あるいは代わりの人、保証人は4親等以内の親族で、本人や連帯保証人とは生計が別であることが必要です。保証できる人がいないときは、保証機関を利用します(機関保証)。
 

返還できなかったら連帯保証人に請求がいくの?

奨学金の連帯保証人は、主債務者である奨学生本人が返還しなかった場合、全額を返還する義務を負います。
 
また、連帯保証人は、金融機関が融資を行う際と同じように、奨学金の元金だけでなく利息や延滞金に対しても責任を持たなければなりません。返済が滞る場合、債権者(日本学生支援機構など)は、連帯保証人に対して法的手続き(財産や給料の差し押さえなど)を取ることが可能です。
 
連帯保証人と保証人は役割や責任範囲が異なり、連帯保証人が全額を支払う義務を持つのに対し、連帯保証人1名・保証人1名の場合、保証人の負担は原則、未返還額の半分とされています。
 

初任給が18万円の場合、奨学金返還はできる?

初任給(月収)が18万円の場合、社会保険料や税金などが控除されたあとの手取りは、14万5000円程度になるでしょう(東京都の場合)。
 
一方、総務省統計局の「家計調査」(2024年)によると、34歳以下の単身世帯における1ヶ月あたりの支出の平均は17万6160円となっており、手取りの金額14万5000円程度では、不足することになります。
 
実際の支出額はこれよりも少ない可能性もありますが、いずれにしても月収が18万円で一人暮らしの場合、奨学金を毎月返還していくのは厳しいと考えられ、綿密な資金管理が必要でしょう。
 

奨学金の返還が滞った場合はどうなる?

日本学生支援機構の場合、奨学金返済が滞ると段階的に以下の処置が取られます。

1. 督促手続き
2. 延滞金の賦課
3. 個人信用情報機関への登録(いわゆる「ブラックリスト」登録)
4. 法的措置(人的保証の場合)

口座振替ができなかった場合、1度目は本人へ電話などで通知され、延滞金の賦課はされず次回に2回分の振替が行われますが、2回目以降は本人だけではなく連帯保証人や保証人へも通知され、延滞金が賦課されます。
 
振替不能4回目以降は口座振替が停止され、債権回収会社からの督促に移行し、個人信用情報機関への登録が行われます。
 
個人信用情報機関へ登録されると、クレジットカードの発行ができなかったり、自動車ローンや住宅ローンなどの審査に影響したりするため、注意が必要です。
 
人的保証の場合、長期間延滞が続くと延滞分だけでなく、返還期限がまだ来ていない分も含めた返還が済んでいない額、利息、延滞金の返還を一括請求されます。応じない場合、支払督促がなされ、それでも返還しない場合、強制執行の手続きを実施します。
 
経済的な理由で奨学金の返還が困難な学生のために、日本学生支援機構では「減額返還制度」を利用して月々の返還額を減額したり、返還期限を先送りできたりします。
 
また、所得に応じて返還額が決まる方式(所得連動返還方式)を利用することも可能です。これらの制度を利用することで、生活費とのバランスを取りやすくなるでしょう。
 
制度を利用するには、所定の手続きが必要です。また、一定の条件があるため、よく確認してから申し込みましょう。
 

滞納が続いた場合、最終的に保証人は返還する義務を負う。奨学金を返還する余裕がない場合は制度を利用して対処しよう

経済状況の悪化や予期せぬ出費などにより、奨学金の返還が困難になることがあるかもしれません。返還が滞ったまま放置しておくと、延滞金が課されるのに加え、最終的には保証人が返還を肩代わりすることになります。返還額を減額する制度や、返還期限を猶予する制度などを利用して、対処する必要があるでしょう。
 
18万円のうち手取りから生活費を支払い、さらに奨学金を返済していくには適切な制度の利用と、綿密な資金計画が欠かせません。自分に合った方法で返還し、安心して生活できる環境を整えることが大切です。
 

出典

総務省統計局 家計調査 家計収支編 2024年 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 表番号2 男女,年齢階級別 単身世帯・勤労者世帯
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集