定期的な歯科検診が健康寿命に影響するって本当?検診費用はいくらかかる?
配信日: 2025.04.25

歯が悪くなることは虫歯や入れ歯だけの問題にとどまらず、健康寿命にも影響するといわれています。この記事では、歯科検診の重要性と費用についてまとめました。

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歯の健康寿命が全身の健康に与える影響とは?
歯の健康を保つことが全身の健康を守ることにつながるという認識が、近年の研究や医療現場でも広まりつつあります。
特に歯周病と全身疾患との関連性が注目されています。歯周病は、歯ぐきの炎症から始まり、歯を支える骨を溶かしてしまう病気ですが、その炎症が血液に乗って全身を巡り、糖尿病の悪化や心筋梗塞、脳梗塞のリスクを高めるというデータが報告されています。
また、口腔内の細菌が誤って気道に入ることで引き起こされる「誤嚥性肺炎」は、高齢者の命を脅かす代表的な疾患の一つです。これも、歯科検診によって口腔内を清潔に保つことで、発症リスクを低下させることが可能です。
さらに、かむ力が衰えることにより消化器官への負担が増大したり、十分な栄養の摂取が困難になったりする問題もあります。しっかりかめないと食べ物の選択肢が狭まり、やわらかいものばかりを好むようになった結果、必要な栄養素が不足し、免疫力が低下する悪循環に陥るケースもあるでしょう。
定期的な歯科検診は健康寿命にどう影響する?
定期的な歯科検診は健康寿命を延ばすために欠かせない習慣の一つであるといえます。健康寿命とは、介護を受けずに自立して生活できる期間のことで、元気に過ごせる年数を指します。
定期的な歯科検診を受けて虫歯や歯周病、そのほかの疾病を予防し、自分の歯を保つことが、将来的に医療や介護のリスクを軽減するためには必要です。年を取っても自分の歯で食べることが、健康で長生きするための土台であるといえるでしょう。
歯科検診を受けるメリットと頻度
厚生労働省の「令和5年 国民健康・栄養調査の結果の概要」によると、1年間に歯科検診を受けた人の割合は58.8%でした。この調査では、最も検診を受けた割合が低かったのは20代の男性、高かったのは60代以上の男女であることが分かりました。
定期的な歯科検診は、一般的に年に1回から2回が推奨されています。特に、30歳以上の成人や高齢者は歯周病や虫歯のリスクが高まるため、年に2回は検診を受けることが望ましいとされています。しかし、実際には受けていない人もいるため、すべての年代で歯の健康について、より意識を高める必要があるといえるかもしれません。
歯科検診の費用相場
保険適用の歯科検診は受ける内容によって3000円~5000円程度が一般的ですが、自費診療の場合は検査内容によって異なり、1万円以上かかることもあります。保険診療では基本的な検査が中心であるのに対し、自費診療ではより詳細な検査が受けられるためです。
自費診療の歯科検診は場所や地域などによって費用に差があり、都市部にある歯科医院などでは高めの費用設定がされていることがあるでしょう。
仮に1回の検診費用を4000円とすると、年に2回で約8000円となります。一方、虫歯などの治療にかかる費用は、治療の種類や進行度、保険の適用状況によって異なるものの、一般的には初診料を含め5000円~2万5000円程度は必要でしょう。
治療にかかる費用を考えると、定期的な歯科検診の費用は無駄ではないといえるかもしれません。
自治体や保険組合の中には、定期歯科検診に対する助成制度を設けているところもあり、利用すれば検診費用をおさえられます。家族も無料で歯科検診を受けられる保険組合などもあるため、そういった制度を利用するのもおすすめです。
定期的な歯科検診は、健康寿命を延ばすために必要といえる
歯の健康状態が身体の健康状態に影響することが注目され始め、口腔ケアの必要性がより高まっています。歯および口腔の健康を保つには、定期的な歯科検診が欠かせないといえるでしょう。
定期的な歯科検診は、虫歯や歯周病の早期発見に役立つことから、将来的な医療費や介護費をおさえるために大切です。一人ひとりが健康な口腔環境を維持することの重要性を再認識し、定期的な歯科検診を受診するよう心がける必要があるでしょう。
出典
厚生労働省 令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要(25ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー