家族での引っ越しの見積もりが「30万円」…費用が値上がりしているようですが、相場はどのくらいですか？

家族で引っ越しをすることになったけれど、見積もりが予想以上に高額で驚いたという経験がある方もいるでしょう。昨今、引っ越し費用は以前よりも値上がりしており、その背景には社会全体の変化が影響しています。
 
本記事では、引っ越し費用が高くなっている理由や、実際の相場、そして費用をおさえるための方法について解説します。

引っ越し費用が値上がりしている理由は？

引っ越し費用が高くなっている理由のひとつに、「物流の2024年問題」と呼ばれる社会の変化があります。これは、2024年4月からトラックやバス、タクシーのドライバーなどの働く時間に上限規制が適用されることで、交通や物流に深刻な影響を及ぼす可能性があるというものです。
 
これによって、今までのようにたくさんの荷物を運べなくなり、引っ越し業者も対応できる件数が減るなどの影響が出ているようです。
 
もともと引っ越し業界は人手不足でしたが、働ける時間も短くなったことで、引っ越しを依頼されても断らざるを得ないケースも出てきているようです。こうした変化の中で、引っ越し会社は売上が減ったり、新しいスタッフを雇うための費用が増えたりと、負担が大きくなっているといわれています。
 
その結果、引っ越しをする際に「料金が高くなる」「希望の日に引っ越せない」「選べる会社が少ない」といった影響が出てきており、引っ越し費用が全体的に高くなっているのです。
 

家族での引っ越し費用の相場

国土交通省近畿運輸局によれば、引っ越しにかかる費用は、「基準運賃＋料金＋実費＋附帯サービス」で構成されています。定価が決まっているわけではなく、荷物の量や移動距離、引っ越しをする時期、作業員の人数など、さまざまな要素によって金額は変動します。特に家族での引っ越しは荷物の量が多くなりがちなので、費用も高めになるようです。
 
家族での引っ越し費用の相場は、表1の通りです。
 
表1

	3人家族	4人家族	5人家族以上
5月～1月の引っ越し費用相場	約9万7000円	約12万円	約16万8000円
2月～4月の引っ越し費用相場	約13万円	約16万5000円	約21万5000円

※筆者作成
 
繁忙期である2月～4月は、引っ越し費用が3万円～5万円ほど高くなることが分かります。また、この料金はあくまで相場で、引っ越し先までの距離が長いと30万円以上かかるケースもあるようです。
 

引っ越し費用をおさえる方法

引っ越し費用は、時期の選び方や荷物の量、業者選びなどの工夫で安くおさえられます。ここでは、家族での引っ越しをなるべく安くするための3つの方法を解説します。
 

費用が安い時期に引っ越す

引っ越し料金は、引っ越す時期によって大きく変わります。新生活に向けての2月～4月は引っ越し業者が忙しくなるため、料金も高くなります。逆に、5月から1月にかけては引っ越しの件数が減る傾向にあるため、費用が安くなりやすいのです。
 
また、土日祝日や午前中の引っ越しは、料金が高くなる傾向があります。平日や午後、時間指定なしの「フリー便」を選ぶと節約になります。ただし、フリー便は業者の到着時間に幅があるため、状況によっては待機時間が長くなる可能性がある点も知っておきましょう。
 

荷物を減らす

荷物が多いと、トラックも作業員も増えて費用が上がります。そのため、不要な服や家具、家電などは、引っ越し前に思い切って処分しておきましょう。処分して荷物が少なくなれば、コンパクトなプランを使える場合もあり、さらに安くなる可能性があります。
 

一括見積もりサービスを活用する

引っ越し費用に定価はないため、同じ条件でも引っ越し業者によって料金が異なるケースがあります。一番安い業者を見つけるためには、複数の業者の見積もりを比較する必要があります。その際に便利なのが、一括見積もりサービスです。
 
一度情報を入力するだけで、複数の業者に見積もりを依頼できます。料金を比べられるだけでなく、他社の見積もりを使って「このくらいでできませんか？」と交渉もしやすくなるでしょう。
 

荷物の量や移動距離などによって変動するが、家族での引っ越しでは30万円以上かかることもある

引っ越し費用が高くなっている背景には、物流の2024年問題や人手不足といった社会的な影響があります。特に家族での引っ越しは荷物が多くなるため、料金も高くなりがちです。
 
しかし、引っ越しの時期を工夫したり、荷物を減らしたり、複数の業者に見積もりをとったりすることで、費用をおさえることは可能であると考えられます。今後の引っ越し計画に備えて、早めに準備を進めておくことで、スムーズで無駄のない引っ越しが実現できるでしょう。
 

出典

国土交通省 近畿運輸局 引越料金のしくみ
 
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー