先日薬局に行ったところ「かかりつけ薬剤師」を勧められました。「60円~100円程度の上乗せ」になるようですが、コストに見合ったメリットはありますか?
配信日: 2025.04.23


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患者の服薬支援を担う「かかりつけ薬剤師」とは?
一人ひとりの服薬状況を把握し、薬にまつわることを教えてくれるのが「かかりつけ薬剤師」です。薬の飲み合わせや副作用などの相談や、日常の健康相談に24時間応じる役割もあります。「かかりつけ薬剤師」には3つの役割があります。厚生労働省が公表している「患者のための薬局ビジョン 概要」を基にそれぞれ解説します。
(1) 服薬情報の一元的・継続的把握
・主治医との連携、患者からのインタビューやお薬手帳の内容の把握等を通じて、患者がかかっている全ての医療機関や服用薬を一元的・継続的に把握し、薬学的管理・指導を実施。
・患者に複数のお薬手帳が発行されている場合は、お薬手帳の一冊化・集約化を実施。
(2)24時間対応・在宅対応
・開局時間外でも、薬の副作用やの見間違い、服用のタイミング等に関し随時電話相談を実施。
・夜間・休日も、在宅患者の症状悪化時などの場合には、調剤を実施。
・地域包括ケアの一環として、残薬管理棟のため、在宅対応にも積極的に関与。
(3)医療機関等との連携
・医師の処方内容をチェックし、必要に応じ処方医に対して、疑義紹介や処方提案を実施。
・調剤後も患者の状態を把握し、処方医へのフィードバックや、残薬管理・服薬指導を行う。
・医薬品等の相談や健康相談に対応し、医療機関に受診勧奨する他、地域の関係機関と連携。
「かかりつけ薬剤師」を指名すると「かかりつけ薬剤師指導料」がかかる
「かかりつけ薬剤師」を指名すると「かかりつけ薬剤師指導料」がかかるようです。「かかりつけ薬剤師指導料」の保険点数は76点(760円)です。3割負担だと約230円の負担になります。
現在負担している「服薬管理指導料」との差額は、60円または100円程度の増加です。かかりつけ薬剤師が対応できない際には、服薬管理指導料(45点または59点)または服薬管理指導料の特例(59点)を加算します。
かかりつけ薬剤師の主なメリット
かかりつけ薬剤師を利用することでのメリットは、「安全・安心に薬を使用できる」「在宅医療もサポートしてもらえる」「医療チームのサポートを受けられる」などが挙げられます。
「安全・安心に薬が使用できる」理由は、診察・処方を行っている医師と調剤を行っている薬剤師により、薬を使う際のダブルチェックができるためです。そうすることで、薬の効果や副作用が確認できたり、同じような作用の薬が重複していないか・飲み合わせの悪い薬が処方されていないかをチェックしてもらうことができるでしょう。
「在宅医療もサポートしてもらえる」理由は、在宅で療養している患者にも、行き届いた薬学的管理が受けられるためです。特に高齢になると在宅療養をすることが増えますから、年配の方にとってはうれしい仕組みかも知れません。
「医療チームのサポートを受けられる」理由は、かかりつけ薬剤師から担当医への疑義照会や処方提案や副作用・服薬状況のフィードバックなどを共有してもらうことができるためです。その他にも医療情報連携ネットワークでの情報共有や医療機関への受診推奨などの医療チームのサポートが受けられます。
まとめ
「かかりつけ薬剤師」の概要や「かかりつけ薬剤師」を指名する時にかかる「かかりつけ薬剤師指導料」について、「かかりつけ薬剤師」のメリットについて解説しました。「かかりつけ薬剤師」を依頼することでわずかに負担は増えますが、それ以上にメリットも多くあります。ぜひ、身近な薬局で「かかりつけ薬剤師」を利用してみてはいかがでしょうか。
出典
厚生労働省 患者のための薬局ビジョン 概要(4ページ)
公益社団法人 日本薬剤師会 調剤報酬点数表一覧(令和7年4月1日施行)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー