「育児休業給付金はお給料をもらってたら減額される」って本当?
配信日: 2019.03.18 更新日: 2020.04.06
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
「育児休業給付金」は収入があれば、金額に応じて減額も
育児休業給付金の支給計算式は、原則、次のようになっていました。
〇各支給単位期間における支給額
「支給単位期間」とは、育休を開始した日から起算した1ヶ月ごとの期間です。
休業開始時賃金日額×支給日数×67%
休業開始時賃金日額とは、育休開始前の6ヶ月間の賃金を180日で割った額です。この金額に支給日数をかけて1ヶ月当たりの賃金(賃金月額)が割り出されます。
ただし、育休開始から6ヶ月までの期間の支給率が67%で、6ヶ月を経過すると50%になります。「育児休業給付金」は「雇用保険」からの給付なので、原則、お勤めの会社からお給料が支払われないときに、国が面倒を見るという考え方です。
休業中の収入を補う制度のため、育児休業給付金には、休業中にお給料をどれぐらいもらっているかによって制限が設けられています。
〇事業主から賃金が支払われた場合の育児休業給付金
(1)賃金が賃金月額の「13%以下」なら、「賃金月額の67%相当額」を支給。
(2)賃金が賃金月額の「13%超80%未満」なら、「賃金月額の80%相当額と事業主から支給される賃金の差額」を支給。
(3)賃金が賃金月額の「80%以上」なら、「支給されない」。
なお、これは、育休開始から6ヶ月までについての話なので、6ヶ月経過後は少し条件が異なります。一般的には、育児休業給付金の給付のみを受給するケースが多いと思いますが、仮に、会社から賃金が支払われた場合は、雇用保険との間で調整が行われると考えてください。
この「調整」という考え方は、育児休業給付金だけでなく、例えば、働いている場合に年金をもらう際に適用される「在職老齢年金」などにもあるため、今のうちに知っておくと、後々、理解がスムーズにいくと思います。
「育児休業給付金」には上限がある
次は育児休業給付金の支給上限額に移りたいと思います。育児休業給付金には支給上限額があります。
〇育児休業給付金の支給上限額:30万1299円(育休開始から6ヶ月まで、支給率が67%の場合)
育児給付金は賃金月額(休業開始時賃金日額×支給日数)に支給率をかけて算出しますが、賃金月額には上限と下限があります。毎年8月1日に見直され、変更されることがあり、平成30年8月1日現在の賃金月額の上限・下限額は以下のようになっています。
〇賃金月額の上限額:44万9700円
〇賃金月額の下限額:7万4400円
上記のように、休業前の賃金が高かったとしても、44万9700円まで、低くても7万4400円以上が賃金月額となります。これに67%(または50%)をかけた金額が1ヶ月当たりの育児休業給付金額の上限・下限額になります。
まとめ
今回のお話は、お勤めの会社からお給料をもらった場合の育児休業給付金と、育児休業給付金の上限額についてでした。ポイントは、お給料をもらっている場合は「支給調整」されることでしたね。
そして、育児休業給付金の上限額が30万1299円と決められていることです。お金のことは家計全体で見ていく必要があります。
育児休業給付金は、「収入」「支出」「資産」「負債」の4項目のうち「収入」に関することですが、これについてあらかじめ把握しておくと、その期間の支出について、どのようにやりくりしていけばいいかを前もって考えることができるようになります。
気になる方は、最寄りのハローワークで確認するといいでしょう。
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)