「二世帯住宅」の建設費用は「親」と「子ども」でどのように負担を分ける?
配信日: 2025.04.23

この記事では「親」と「子ども」がどのように二世帯住宅の建設費用を分担すべきかについてまとめました。

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目次
二世帯住宅とは
二世帯住宅は、親世帯と子世帯がそれぞれ独立した生活空間を持ちながら、同じ建物内で生活する住宅です。タイプによって完全分離型、部分共有型、完全同居(共有)型に分類されます。
なお、完全分離型とは家の設備がすべて世帯ごとに別になっている住宅のことで、部分共有型は設備を部分的に二世帯が一緒に使う住宅、完全同居型はほぼすべての設備を一緒に使う住宅をさします。
共有する部分が多い完全同居型と比較すると、完全分離型および部分共有型の場合、建設やリフォームに必要な費用は高くなるといえるでしょう。
二世帯住宅のメリットは、土地や建築費を共有することでコストをおさえられる点です。また、光熱費や固定資産税なども分担が可能です。
加えて、親世帯が子どもの育児を手伝ったり、子世帯が親の介護をサポートしたりするなど、相互支援がしやすくなる点もメリットといえるでしょう。親子で協力して資産を形成できることから、将来的な相続や資産運用にも役立つ可能性があります。
親と子どもの費用分担、どう分ける?
二世帯住宅の建設費用を分担する際は、まず家族間で費用分担の基本方針を話し合いましょう。その際、費用を均等に分担するか、親世帯と子世帯で負担割合を変えるのか、ローンを利用するのかなど資金調達方法について決める必要があります。
ローンを利用する場合は、親と子どもの共同名義で組むのか、あるいは世帯ごとに別々に組むのかを決めなければなりません。いずれの場合も、後々のトラブルを避けるためには、頭金や月々の返済額について事前にしっかりと話し合うことが大切です。
さらに、光熱費や食費などの生活費の分担についても話し合う必要があります。
二世帯住宅は名義設定に注意が必要
土地や建物の所有権は費用を出した割合で決まるため、建物の名義設定は慎重に行う必要があります。例えば、親主体型にして親が8割、子が2割を費用負担した場合、建物の所有権の持ち分は親世帯が8割、子世帯が2割になります。
しかし、負担割合に応じた名義設定を行わず「親単独」とした場合、子が負担した2割分について、子から親への贈与とみなされ、贈与税の対象となることがあるため注意が必要です。
あらかじめ費用負担に応じて登記するか、親と子が共同で名義を持つ「共有登記」を選択するとよいでしょう。
二世帯住宅を建てる方法
二世帯住宅を建てるには、建て替えのほかリフォームする方法もあります。一般的にはリフォームの方が費用を安くおさえられる傾向にありますが、それぞれにメリットとデメリットがあるため、費用以外の要素も総合的に考えて決めることが大切です。
建て替え
建て替えの場合、間取りを自由に設計でき、生活に合わせた最適な空間を作れるでしょう。また、二世帯住宅にすることで税の優遇措置を受けられる可能性があり、相続税の軽減が期待できます。
しかし、建て替えには解体費用が発生したり、新たな設備を設置したりする必要があり、リフォームよりも高額になることが多いといえます。特に、完全分離型の場合、設備を2つずつ設置する必要があり、費用がさらに増加する可能性が高いでしょう。
リフォーム
リフォームの場合は、一般的に建て替えよりも予算をおさえながら二世帯住宅にできるでしょう。また、工事の期間も比較的短期間で完了することが多く、居住開始までの時間を短縮できる点もメリットです。
ただし、既存の構造を生かす方向でリフォームするとなると、間取りの変更には限界があります。古い住宅の場合は、リフォーム後も経年劣化が進んでいる部分が残るため、長期的にはメンテナンスが必要になる可能性もあるでしょう。
二世帯住宅の費用は、資産や収入の状況によってどちらが負担を大きくするのかを決める
二世帯住宅は経済的にメリットがあるだけでなく、親世帯と子世帯のつながりを深められる住まいのあり方といえます。費用分担の方法によっては登記や相続への影響が大きくなるため、慎重に話し合って決めましょう。
親と子どもの双方が納得できる形で計画を進めることで、新たな生活を安心して始められるといえます。不明な点がある場合や、トラブルに発展しそうなときは専門家に相談するなどの手段を取ることも大切です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー