更新日: 2019.06.26 その他
「新しい命を授かりましたが妊娠・出産で必要なお金はどのぐらいですか?」
しかし、初めての妊娠・出産の場合は、いろいろと分からないことが多く、戸惑うご夫婦もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、そんな不安を解消するために、妊娠・出産に必要なお金について解説します。
執筆者:下中英恵(したなかはなえ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
妊娠中にかかるお金
まずは、妊娠中にかかる費用についてご紹介します。
一般的な病気の場合、保険が適用されるため、医療費の自己負担は3割となることが多いでしょう。しかし、妊娠・出産は、病気ではないので、基本的には、保険が使えません。
女性は、「妊娠したかな?」と思ったら、まず家の近くなどにある産婦人科の病院に行くと思います。最初の診察では、エコーや尿検査などを行うことが多いでしょう。初回は、全額を自己負担しなければならないので、1万円~2万円ほどかかると覚えておきましょう。
その後、妊娠が確定した場合は、地域の役所に行くと、母子手帳と妊婦検診の補助券をもらうことができます。この補助券を使うと、今後妊婦検診にかかる費用の大部分をカバーすることができますよ。
例えば、東京都江東区の場合、母子手帳と一緒に、14回分の妊婦健康診査受診 票と、1回分の妊婦超音波検査受診票と、1回分の妊婦子宮頸がん検診受診票をもらうことができます。
病院にもよりますが、この補助券を使うと、妊婦検診にかかる自己負担額は、1回につき無料~〜5,000円程度となるでしょう。特別な検査などした場合は、補助券を使っても、1万円以上、自己負担が必要となるケースもあります。
覚えておきたい出産育児一時金制度
次に、出産費用についてチェックしていきましょう。
出産では、国の「出産育児一時金制度」を利用することで、自己負担額を少なくすることができます。
これは、国民健康保険に加入している人が出産した場合に、出生児ひとりにつき42万円が支給されるもので、妊娠85日以上であれば、死産・流産された場合でも支給してもらうことが可能です。
東京都内の産婦人科病院などで、普通分娩で出産した場合、出産費用は、一般的に40万~60万円程度かかります。しかし、出産育児一時金制度を利用することで、出産費用の自己負担は、10万円程度に抑えることができますね。
追加で必要なお金をチェックしよう
妊娠中に、切迫早産や妊娠高血圧症候群などのトラブルになり、特別な治療が必要となるケースでは、さらに医療費が多くかかることがあります。
また、出産費用は、病院や出産スタイルによって、必要となるお金が大きく違うことを覚えておきましょう。例えば、出産の痛みを軽減させる和痛分娩や無痛分娩の場合、通常の出産費用に加えて10万~15万円ほどお金がかかります。
さらに、もうひとつ確認しておきたいのが、赤ちゃんが早産などで少し小さく産まれてしまった場合に必要となる、NICU(新生児集中治療室)などでかかるお金です。
「未熟児養育医療制度」という制度を利用すると、赤ちゃんの治療にかかる費用の大部分をカバーすることができますが、オムツ代や赤ちゃんのお洋服にかかる費用などは別料金となる場合もあります。もしもの時に慌てないために、事前に確認しておきましょう。
これから赤ちゃんが欲しいと考えているご夫婦は、経済的な不安を感じることなく、余裕を持って妊娠・出産に臨みたいですよね。
まずは、地方自治体が交付してくれる妊婦検診の補助券や、出産育児一時金の内容を把握しておくことが大切です。
そして、実際に出産する病院を選ぶ場合は、どのくらいお金がかかるのか、事前にしっかりチェックするようにしましょう。
執筆者:下中英恵(したなかはなえ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者